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性別が、ない!~両性具有の物語~ 1巻

新井祥
(27)

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作品情報

あらすじ

30歳まで女性として暮らしてきたが、染色体検査で両性具有(半陰陽)と判明した著者が現代のボーダレス化する性をリアルに描き出す!

作品詳細情報

タイトル:
性別が、ない!~両性具有の物語~ 1巻
ジャンル:
コミック女性向けコミック女性コミック
著者:
新井祥
出版社:
ぶんか社
掲載誌:
本当にあった笑える話
ファイルサイズ:
22.4MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2017-8-7 ]

LGBTQの本棚から 第16回「性別が、ない!」

今回ご紹介するのは
「性別が、ない!」
という新井祥さんの実録マンガ、全15巻です。

性別がない…?
どういうこと?

作者の新井さんはインターセックス(半陰陽)といわれる、男女どちらともつかない身体的構造をしている人たちの1人です。
両性具有ともいわれますね。
「卵巣も精巣もあるけど、性器は女性」
とか
「見た目は女性で胸もあるけど、性機能は男性」
とか人によってさまざまみたいです。
医学的には性分化疾患といい、原因は不明で、性器の見た目でわかる場合もあれば、染色体検査をしないとわからない場合もあるようです。

巻数が多いので今回は4巻までを紹介しますが、その前に、今回のコラムを書くにあたって、漫画を貸してくださった通院先の先生に感謝を……(^^)

1巻は
「こういう人もいるんだよ~」
という導入的な内容です。
インターセックス(以下 中性)だけでなく、ゲイやMtFについても軽く紹介されています。
といっても中心になるのはやっぱり中性の話で
「体内の性ホルモンの変化で男体化したり女体化する」
とか中性特有の悩みを知ることができます。

2巻は1巻より中性についてさらに詳しく
「染色体検査からの家族へのカミングアウト」
「性同一性障害との違い」「性器の違いの例」
「胸の除去手術」
「改名」
などなど……。
実に盛りだくさんです。

新井さんは女性として生活していましたが、自分の身体の変化などを疑問に思い染色体検査を受けたところ、インターセックスと判明し、それから男性として生きる道を選んだそうです。
なので胸を除去したり改名したりしています。

胸の除去や改名はFtM(女→男)もしますが、改名については半陰陽の人のほうが簡単に手続きできるみたいです。
性同一性障害の改名手続きは必要な書類が多い!!

性同一性障害との違いを簡単に言うと
インターセックス:体が中性な人
性同一性障害:心が異性な人
ということになります。

2巻のなかでで印象的なのが「頭の固い20世紀の古代人どもを困らせてやれ!!」というセリフ……。
これは入国審査の時に性別と見た目が一致しないからと止められることが減った→性別が見た目じゃわからない人たちが増えたから管理局側も慣れてきた!
という場面でのセリフなんですが、ほんとにこの意気で行きたいなぁと思いましたね(^^)

知らないから、拒否する。わからないから、遠ざける。
ならこっちから知らせてやるし、常識の一つにしてやればいいわけですっ!

3巻は
「性について考える」
がテーマのようです。

まずはセクマイに対する男女の対応の差……。
これは本当に明確で、女性の方が寛容な傾向にあります。

女性はカミングアウトしても
「そんな気がしてた!」
とか
「いいじゃん、そういうのもアリだと思う!」
という感じだし、本人は隠しているけどなんとなく違う感じがするときも、あまり気にしません。
男っぽい女の子には
「かっこいい!」
といってくれるし、女っぽい男の子も仲間にいれてくれたりもします。

逆に男性は本当に否定的な傾向が強いです。
ちょっと女っぽかったり、中性的だと露骨にそれを表に出してきます。
最近、僕も
「男なの?女なの?」
と聞かれました。
それを聞いてどうするんだ、と思いましたよ。

僕はカミングアウトするときは、この人は受け入れてくれるだろうなというのを見定めてからしますが、考えてみると、ほぼ女性にしかしたことがないことに気がつきました。

男性も、もっと寛容になりませんかね!

この巻にも印象的なセリフがあって
『「女性の気持ちを理解してる」って男はたいていが思い込みでしょう?』
というものなんですが、たしかに!と思いましたよ。

僕は女性として18年ほど生きていたので、女性としての扱われ方や生理などの身体的な大変さも身をもって知っています。
それでも女性の気持ちがわかるかといわれると(わかる部分もありますけど)微妙なところです。

結局他人のことなんてわからないのかもしれないですが、わかってる、と決めつけずに「知ろうとすること」が大切なんじゃないかな~、と思いました。

あと、最近、俗にいう、ゆとり世代のいい点を発見しました!
ゆとり世代ってあんまりいい意味で使われていないじゃないですか。
でも
「男女の性差をなくした教育」
を受けているので、それ以前の教育を受けた人たちよりも少しだけセクマイに寛容な気がします。
僕もゆとり世代なので話に聞いただけですが、昔は女子は家庭科・男子は技術とか、教科が別れていたそうですね。
その教育の影響か
「男の世界に女は入ってくるな」
という昔ながら(?)の考えは薄れていて、むしろその考えを
「情けない」
と思っている男子も結構いるようです。
そういう意味では、時代は進化してるんですかね~。

4巻は
「服装倒錯」
「ホモフォビア」
「バイのイメージ」
「マイノリティの捉え方」がポイントでしょうか。
だんだん覚えなければならない言葉が増えてきて大変ですが、ついてきてください(^^)。

まずは服装倒錯(トランスベスタイト)について。

このコーナーでは初めて出てくる言葉ですよね?
服装が倒錯しているということでなんとなくイメージはつくかと思いますが、異性の服装をする人たちのことをさします。
女装とか男装とかですね。
LGBTQ的にはTかQか微妙なところですが、まあそこのところはあまり気にしなくていいかと……。

トランスベスタイトの人は性別を変えたいわけではなく、あくまでコスプレを楽しむ人という感じのようです。

次に「ホモフォビア」
これは以前話しましたが、日本語に直すと「同性愛者嫌悪」になります。

言語的にみると
「ホモ(ゲイの差別用語)+フォビア(恐怖)」

「同性愛者に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶・偏見、または宗教的教義などに基づいて否定的な価値観を持つこと」
が定義です。

作中では、ホモフォビアは
「なぜ」
を考えないタイプが多い、とあります。
なぜ否定するのか、なぜ嫌悪するのかを考えないで
「普通そうでしょ」
「あたりまえじゃん」
「不自然だからだよ」
というように、一定の価値観に縛られている感じがします。

このコラムを読みに来てくださる人はホモフォビアではないと思うので驚くかもしれませんが、世間にはこういう人が結構たくさんいるんですよね。
こういう人が減ると、セクマイだけでなくいろいろな人が生きやすい世の中になるのに……。

次は「バイのイメージ」……。
「バイ」
ときいて皆さんはどんなことを思い浮かべましたか?
よく
「バイセクシュアルは遊び人」
と誤解されるみたいですが、それはその人の性格や価値観によるもので、異性愛者でも遊び人はいますよね。
バイだからって遊び人というわけではありません。
ただ単に、好きになる相手の性別を問わない……だけです。

最後は
「マイノリティの捉え方」

日本はマイノリティの捉え方が否定的で
「少数・マイナー」=「弱者・負け組」
となりがちですが、考え方や見方次第で、誰でも少数派になるのに、なぜそう短絡的なんでしょうか。

これ、学校の授業とかで考えてみたら面白いかもしれません!
子どもの分類の仕方は
「普通の人」

「変な人」
なのですが、刺激を受けないまま大人になると分類の仕方も変わらないので、刺激を与えるためにもぜひ、さまざまな情報を知ってもらいたいものです。

長くなりましたが、たくさんの情報が詰まった漫画です!
セクマイについて描いた漫画としてはかなり有名なので、知っている人も多いかもしれません。

セクマイのこと以外にも海外のことや日本の奇祭なんかについても書かれています。

ただ一つ問題なのが、下ネタがちょっと過激かもしれないという点です。
作者さんが性に関して奔放であっけらかんとしているので(そこも良さなんですが)お堅いPTAとか先生には拒否されてしまうかもしれません。
なので、図書館に入れるか入れないかは、司書さんの判断にお任せします。

高校には入れてもいいと思うんですけどね!

2017/08/07

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