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もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎夏海

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作品情報

あらすじ

敏腕マネージャーと野球部の仲間たちが甲子園を目指して奮闘する青春小説。高校野球の女子マネージャーのみなみちゃんは、マネージャーの仕事のために、ドラッカーの『マネジメント』を間違って買ってしまいます。はじめは難しくて後悔するのですが、しだいに野球部のマネジメントにも生かせることに気付きます。これまでのドラッカー読者だけでなく、高校生や大学生、そして若手ビジネスパーソンなど多くの人に読んでほしい一冊。

作品詳細情報

タイトル:
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
ジャンル:
ビジネス・経済経営企業・組織論
著者:
岩崎夏海
出版社:
ダイヤモンド社
掲載誌:
ファイルサイズ:
1.2MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2012-2-26 ]

「もしドラ」は「おお振り」にそっくりだ!!説。

「もしドラ」という愛称まで付けられたベストセラー。
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」なんて、
見事に人を魅きつけるタイトルと内容です。
著者の岩崎夏海氏。さすが秋元康氏の下で修行を重ねただけのことはある。でも、この方、東京芸大卒なんですね、びっくりした。
芸大の建築科ですよ。本来なら、スペインのバルセロナであのガウディのサグラダ・ファミリアの修復に携わるような仕事をしていてもおかしくない。
まあ、本人を直接知らないから、何故に芸大を卒業して放送作家になったのか、全く見当つきませんが。
ウィキによると、秋元事務所を解雇されたと書かれているが、ホントかなあ。
こういう仕掛け作りの名人ですからね、秋元さんは。
どうすれば話題になるかをとことん研究して物事を進める天才。
オニャン子だって、AKBだって、結局はマーケティングの賜物。
だから独断と偏見で言えば、これ自体、秋元氏が仕掛けたのではないかと未だに疑ってかかっています。テレビ業界というのは何でもありの世界だから。
岩崎夏海なんて名前なので、てっきり若い女性アナリストかマーケッターを想像したら、出てきたのは全く想像を裏切る容姿の男性だったし。あのギャップがまたすごかった。

これは、2009年12月発売ながら、2010年と2011年の二年連続でビジネス部門年間ベストセラー1位に輝いた化けもの本。電子版も入れると、今では300万部くらいになるのだろうか。
おかげで、本家ドラッカーの「マネジメント」までミリオンセラーになった。

病に倒れた親友に頼まれ、仕方なく弱小野球部のマネージャーを引き受けることになった主人公、川島みなみ。このネーミングだけでも、漫画「タッチ」の南ちゃんを彷彿とさせるもの。可愛い女子マネージャーって。
で、すごいのが、というか、ある意味当たり前で、でもそれまで誰もが気づかなかった、マネージャー=マネジメントする人だということ。
ポイントはこの一点。
そうなんです。マネージャーって雑用係とかスケジュールを組む人じゃなくて、本来はマネジメントすべき人なんだよね。ビジネスの世界では常識。でも高校野球の世界では非常識。
絶対権力者は監督。ここに切り込んだ発想がすごい。

註:広辞苑と英和辞書で確認しましたが、広辞苑では、やはり単なる世話人的な記述。英和辞典では、世話するだけならcare takerと言うようです。

野球部のマネージャーの役割を何も知らないみなみちゃんだからこそ、勉強しようと本屋の店員に薦められて買ってしまったドラッカーの著書「マネジメント」。
どうして今まで誰も気づかなかったのだろう、そのことに。
みなみちゃんは、全く畑違いの経営本だったことを知り、後悔するが、読み進めていくうちに「あれ、これって野球部にも当てはまるんじゃ?」と思うようになる。
そして、どんどんイノベーションが始まっていくわけですね。
弱小野球部がいわゆる体育会的発想、例えば根性とか、死に物狂いとか、精神論的なものではなく、組織論とかマーケティング論とかを応用して強くなっていく。これは面白いはずですよ。
そのうえ、みなみちゃんの悲劇まで物語として織り込んでいるのだから。
今から読んでもお釣りの来る一冊でしょう。

で、ここからが私の持論。
実はコミックで「おおきく振りかぶって」という野球漫画があるのですが、「もしドラ」は、これにヒントを得たのではないかというのが、私の独断と偏見に満ちた推測なのです。
時系列でいうと、こちらのほうが明らかに早い。
この漫画の連載が始まったのは「月刊アフタヌーン2003年11月号」らしいので、もう8年以上前のことになる。
私がこの漫画の存在を知ったのは、2009年の秋。たまたま深夜にぼうっとテレビを見ていたら、このアニメが始まり「これ、面白いな」と思ったのがきっかけ。
毎週楽しみに見て、そのうち話の途中で終わってしまったので、子どもに訊くと、原作のコミックがあるとのこと。後で訊いたら、私が見たのもアニメの再放送の途中からでした。

どうしても最初から見たいと思い、とりあえず息子の持っていた漫画を読んで、それも途中までしかなかったので、買っちゃいましたね、自腹で。
自分のために漫画のコミックを買うなんて、何年振りだったろう。
こんな野球漫画見たことない、というのが第一印象。
「もしドラ」が、経営論、マーケティング論なら、こちらは、野球をスポーツ心理学から分析。個人のメンタルトレーニングや、試合でもお互いの心理を読み取ることが勝利への秘訣。
それまで全くなかった新しい野球漫画でした。

主人公のピッチャー三橋廉は、とても気が弱く、自分に全く自信がない。野球が好きというだけで、とりたてて凄いスピードボールを投げられるわけでもない。ただ、練習のおかげで、コントロールだけは人並み外れたものを持っていた。
進学した高校も弱小野球部。しかもそれまで軟式だったのがようやく硬式に変わったばかりで、部員は全員一年生で10人だけ。
でも、その10人とも何かしら一つだけはとりえがあるような。
この10人のそれぞれのキャラもまた独特で魅力的なんですね。
で、この野球部の監督は何故か若く可愛い女性。
この監督の経歴がまた謎で、でも野球を心理学的に分析する眼は鋭い。
「こりゃあ、すごい」と思わず唸ってしまいました。
アニメは、第一期が2007年、第二期が2010年に放送され、終了。漫画は新刊が出る度に購入。現在18巻まであります。
とにかく面白い。野球が好きじゃなくても、野球を知らなくても楽しめる漫画。
*もっと詳しく語りたいんだけど、それは「おお振り」を本棚に入れてレビューを書けばいいか。
ウィキで見たら、やはり評価が高く、手塚治虫文化賞とか講談社漫画賞とかを受賞してるんですね。そりゃあ、そうでしょう、こんな素晴らしい野球漫画初めてだもの。
話が「おお振り」寄りになってしまいましたが、言いたいのは「もしドラ」は「おお振り」の小説版だということです。これを見て閃いたんじゃないのかな、と思う私です。

最後に:
本当にどうでもいいことなのですが、ドラッガーじゃなくてドラッカーなんです、彼は。正式には、ピーター・ファーディナンド・ドラッカー。半分くらいの方々がドラッガーと書かれていたので。
ホントにどうでもいいことなんだけど……。
調べていたら、彼の父親はフリーメイソンのグランドマスターらしい。
これまた、ホントにどうでもいいことなんですけどね。

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