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作品情報

あらすじ

人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」は、テングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。一方、自己臭症に悩む刑事の「俺」は、2人の少女の行方不明事件を捜査している。そのさなか、因縁の男と再会することになるが・・・・・・。日本ホラー小説大賞短編賞受賞作「鼻」他二編を収録。著者の才気が迸る傑作短編集。カバーイラスト/磯良一

作品詳細情報

タイトル:
ジャンル:
小説ホラーホラー(国内)
著者:
曽根圭介
出版社:
KADOKAWA
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.3MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2018-3-23 ]

日本ホラー小説大賞短編賞受賞作を含む三作。

・暴落
一人一人に「株価」が設定された世界。
その株価によって社会はきっちり層になっており、エリートとそうでない者との扱いは顕著に違う。
どこの会社にいるとかどの大学を出たとかで株価が決まってくるんだけど、本人の善行が忽ちニュースとなって流れて株価が上がったりするんで街中では必死で弱者を助けようとする者がいる。
また、個人の株を買うことでその人と交友関係があるとみなされる。株価の低い人と付き合っていると自身の株価も下がる。交友を断つには株を売却すればよく、家族でも株を手バスことによって縁が切れる。
主人公はエリート層にいる男性。株価の低かった恋人を振って、社長令嬢との縁談が決まっているが、最近何故か自分の株価が落ちていることが気になる。
これはニートの兄のせいだと思い、実家を訪ねるが、兄は違法薬物に手を出していてどうしようもなく、ついに兄の株を売却して縁を切ってしまう。
しかしその兄が事件を起こして掴まり、薬物を使っていたことと、主人公が直前に兄の株を売却していたことが明るみに出てしまう。主人公は警察に捕まり、インサイダー取引だと言われて、そこから彼の転落が始まる。
善行のために喧嘩が起こる、ディストピア。
その設定がとても面白かった。

・受難
気が付くと何故か建物の裏側で手錠に繋がれていた主人公の男。身動きが取れない。
街中のはずなのに誰も通りかからず、衰弱していく彼の前に、一人の女が現れる。助かったと思ったが、女は水等を運んでくるだけで開放してくれない。
少年や老人も現れるが、みんなまともじゃない。
そのうち、女は主人公を即身仏のようなものにしようとしているのが分かってくる。
理不尽系の話ですね。まさに受難。

・鼻
人間たちが「テング」と「ブタ」に別れており、身分が低いとされるテングが迫害されている。
外科医をしている語り手の男は、テングたちが住まう貧しい区域で、亡くした妻に似たテングを見かける。
テングからブタになるための整形手術は違法だが、語り手の医師は彼女たちと交流したことでそのタブーを破る決意をし、ひそかにテングの鼻を削いでブタにすることを繰り返す。
一方、もう一人の語り手は、自己臭に悩む刑事の男。彼は少女の行方不明事件を追っていた。
調べを進めていくうちに、マスクをした怪しい男に行きつく。その男は子供の頃ある事件巻き込まれて傷つき、以来部屋に籠っているという。
医師と刑事、二人の始点から語られる話は一見重ならないが、しかし実は同一の事件。
語り手の一人である医師は実は自分のことを医師だと思い込んでいるだけ。テングやブタなどと言った区分けは存在しておらず、当然迫害の事実もない。医師だと思われた男は幼少の頃事件に巻き込まれて鼻を削ぎ落されてしまった。それが原因で心を病み、変な妄想に取り付かれている。
つまり、彼は善意で手術していたのではない。行方不明の少女は彼の手に掛かっていた。
最後、医師(と思い込んでいる男)と刑事がついに対面する。
刑事は妄想男に捕まり、手術台へと連れていかれる。そこで最後の独白。
刑事は実は、昔自分の傍で鼻をひくひくさせた子供に斬りかかり、鼻を削ぎ落していた。

語り手が変わるけど、最初は二つの話の間につながりは全く見えなくて、それが繋がるとあっと驚く。
それから、医師と関わった母子を除き、医師に近づく人や、刑事が聞き込みする人たちがみんな嫌な感じのするキャラで、医師だけが聖人かと思われるのに、それが崩れるラストシーンがすごい。

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