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赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―

価格:740(税抜)
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作品情報

あらすじ

ちょっとした手違いから、グリン・ゲイブルスの老兄妹に引き取られたやせっぽちの孤児アン。初めは戸惑っていた2人も、明るいアンを愛するようになり、夢のように美しいプリンス・エドワード島の自然の中で、アンは少女から乙女へと成長してゆく――。愛に飢えた、元気な人参あたまのアンが巻き起す愉快な事件の数々に、人生の厳しさと温かい人情が織りこまれた永遠の名作。

作品詳細情報

タイトル:
赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―
ジャンル:
文学・詩集外国文学
著者:
モンゴメリ村岡花子
出版社:
新潮社
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.8MB
配信方式:
ダウンロード

作品レビュー

[ 2017-7-9 ]

 Betty Smithの「A Tree Grows in Brooklyn」を読んだら、かつて読んだ「赤毛のアン」のことを思い出してもう一度読みたくなりました。女の子が一人の大人に育っていく姿を描いているという点では、ふたつの物語はとてもよく似ているので。

 11歳のアンは孤児院からクスバート家のマシューとマリラの兄妹に引き取られます。働き手として男の子を欲しかったはずの兄妹のところに女の子がやってきて、突然「女の子のいる家庭」ができあがってしまいます。そして、長く独身を通してきた兄妹が、孫ほど歳の離れたアンを実の娘のようにして育てはじめます。

 これまで空想することでしか孤児のつらい境遇を乗り切ることのできなかったアンは、次々に心に浮かぶことを兄妹に話し続けます。これに対してマシューは、「そうさな、わしには、わからんな」、「そうさな、それも道理だな」などと相づちをうちながら、喜んで話を聞くのです。一方、マリラは愛情を言葉や顔にあらわすことができないのだけれど心の中では十分それを感じていながら、それでもアンを甘やかしてはいけないと考え、「黙っていなさい」とアンを厳しく叱るのです。兄と妹のアンへの接し方は対照的だけれど、アンのことを大事に思う気持ちは同じです。もちろんアンにとってもマシューやマリラは生まれて初めて持つことができた大切な「家族」なのです。

 全体で38章からなる小説ですが、アンが小さな冒険をしたり成功や失敗を繰り返したりして、アン自身や周りの人たちがハラハラドキドキしたり一喜一憂するという他愛もない話が続きます。そういった話のひとつひとつも面白いのですが、これらの積み重ねの後に本当に物語が盛り上がるのは第30章の辺りからです。そして物語の大きな転換の後に、アンは新しい歩みを始めます。
「あたしがクイーンを出てくるときには、自分の未来はまっすぐにのびた道のように思えたのよ。いつもさきまで、ずっと見とおせる気がしたの。ところがいま曲がり角にきたのよ。曲がり角をまがったさきになにがあるのかは、わからないの。でも、きっといちばんよいものにちがいないと思うの」 ── アンのこの言葉どおり、これからもアンが自分の力で未来を切り開いて行くことを予感させて物語は終わります。

 ところで、この小説はアヴォンリーの入り口に位置する窪地の風景やレイチェル・リンド夫人の家のそばを流れる小川の様子の描写で始まっています。これらの舞台装置のおかげで読者は日常から物語の世界にあっという間に連れていかれます。その後も、プリンス・エドワード島の美しい自然が繰り返し描かれていて、読者は空想の世界にどっぷりと浸ることが出来ます。

 レイチェル・リンド夫人、ジョセフィン伯母さん、そしてマリラもある意味でそうなのですが、この物語には保守的な、あるいは口うるさく厳しい人たちが出てきます。でも、根っからの悪人やどうしようもなく駄目な人というのは出てきません。いわば性善説で書かれた小説です。だから安心して読めるのだと思います。仮に現代作家が「赤毛のアン」と同じような作品を書いたとしたら、「理想主義の絵空ごとでリアリティを欠いている」などといわれかねません。でも、「赤毛のアン」は古典だから、そんな批判は無用です。

 一般には児童書と思われているかもしれないけれど、この物語の本当の魅力を理解できるのは、むしろ人生の後半を迎えた人ではないでしょうか。

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