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作品情報

あらすじ

『64』で話題沸騰! 横山秀夫の警察小説の原点!

署内で一括保管される三十冊の警察手帳が紛失した。犯人は内部か、外部か? 男たちの矜持がぶつかりあう。表題作(第53回日本推理作家協会賞受賞作)ほか、女子高生殺しの前科を持つ男が、匿名の殺人依頼電話に苦悩する「逆転の夏」。地方新聞の警察担当記者が主人公の「ネタ元」、公判中の居眠りで失脚する裁判官を描いた「密室の人」、珠玉の四篇を収録。

作品詳細情報

タイトル:
動機
ジャンル:
小説経済・社会小説
著者:
横山秀夫
出版社:
文藝春秋
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.2MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2016-2-18 ]

4編収録の短編集。

 横山さんの短編は相変わらず、いずれも完成度が高いです。

 表題作の「動機」は署内で一括管理されていた警察手帳30冊の盗難事件をめぐる話。

 横山さん得意の警察の管理部門を描いた短編。管理部と刑事部の対立や、手帳の一括管理を提案した主人公が、事件の責任を負わされ、徐々に追い込まれていく姿が、読者に迫ってきます。

 そして、ミステリとしても、内部犯か、外部犯か? 犯人は? そして動機は?と、謎の見せ場も多く、警察官ならではの心情と合わさって、真相にたどり着く、という構成も良くできています。受賞作なのも納得です。

 中編「逆転の夏」は女子高生殺しの前科がある山本が主人公。出所し、保護司の口利きの下、職も得たある日、彼の元に殺人依頼の電話がかかってきます。

 これもまずは心理描写が見事です! 事件のため離婚した妻や、その子どもとつながりたいという切望。前科をばらすことをちらつかし、横柄な態度をとる上司への反感。そして、事件自体に対する鬱屈。というのも、この殺人事件は、女子高生側にも非があるためです。そのため山本はどこか、被害者である女子高生を恨み「なぜ自分がこんな目に」という感情を抱えています。

 そんな中かかってきた電話が、山本の心情を揺らします。山本は依頼主の話を聞いていく中で、徐々に依頼主に同情心を覚えていくのです。この辺の描き方も巧い!

 そしてミステリとしての完成度も「逆転の夏」という表題に名前負けしていません! 被害者像、加害者像、そして登場人物たちに対する見方が、何度も反転します。まさに表題通りの作品です。
 
「ネタモト」は女性地方紙記者が主人公。横山さんの経験もあるのでしょうが、全国紙と比較しての地方紙のリアルや、女性記者の苦労を反映したこちらも濃い短編。

 公判中に居眠りをしてしまった裁判官の危機を描く「密室の人」は、ミスのもみ消しや処遇をめぐっての登場人物たちの立ち振る舞いがリアルです。そして男女関係の複雑さ描いた作品となっています。

 それぞれ、主人公や環境は違いますが、どこか共通した雰囲気も感じられます。それは人間が追い込まれてい心理描写や設定の描き方の巧さだと思います。
 
 そうした描写が巧いからこそ、登場人物たちと同じように、読者も徐々に追いこまれていくような、ヒリヒリした感覚を覚えます。

 こうした緊張感が忘れがたくて、横山さんの作品はふとした時に読みたくなる、そんな中毒性があるのかな、と思います。

第53回日本推理作家協会賞短編部門「動機」
2001年版このミステリーがすごい! 2位

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