ブックパス

ページの移動

キャンセル

OK

キーワード

セーフサーチ

成人向けコンテンツの制限

並べ替え

価格

円 〜

条件追加

カテゴリー

ビジネス

趣味・実用

小説

雑誌

コミック

女性コミック

男性コミック

ラノベ

読み放題プラン:初回入会時30日間無料

読み放題プラン(総合コース)に入会して読む 購入して読む

作品情報

あらすじ

最強SNSツール登場!? 新しい波に乗り遅れるな!

突如としてネットで大きな注目を浴びている「マストドン」。見かけはツイッターにそっくりなソーシャル・ネットワーク・サービスですが、その仕組みはいまのネットの限界を打ち破る革新的なもので世界中にユーザーが増えつつあります。本書では、ソーシャルメディアに造詣の深い5人の著者が「マストドン現象」を読み解き、ウェブの未来を予測します。

第1章では、マストドンとはなにか、どのようにしてブームが起こったのかについて、新テクノロジーの分野で数多くの著書や訳書を執筆されている小林啓倫氏がまとめます。この章を読むだけで、怒涛の勢いで始まった話題の流れに追いつくことができるでしょう。

第2章では、クチコミやユーザーコミュニティについて詳しい、ブロガーのコグレマサト氏がマストドンを前のめりに使ってみた肌感覚を、ご自身のマストドン・インスタンス「オジ旅クラブ」運営の経験なども含めて紹介しています。

第3章では、アドバイザー経験の豊富なブロガーのいしたにまさき氏が、企業としていち早くマストドン公式アカウントを立ち上げた日産自動車へのインタビューを通して、ファンを発見するソーシャルメディア活用法について迫ります。

第4章では、ニューメディア関連の取材に多くの経験をもっているまつもとあつし氏が、マストドンブームの最初期からインスタンスの立ち上げ、アプリ開発、そして独自実装までも進めているピクシブに、その狙いと戦略についてインタビューを行っています。

第5章では、北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとした「Lifehacking.jp」ブログを運営する堀正岳氏が、それまでの章の内容をふまえてマストドンブームを掘り下げて考え、分散型SNSが今後もたらすであろう未来や、その懸念点について予想していきます。

そして、まとめの章として最後の章で5人の著者よる座談会で、マストドンを実際に利用し、原稿を執筆したことで見えてくる分散型SNSの未来について語っていただきました。

本書を通して、ツイッター10年目の節目にやってきた「マストドン」という大きな新しい流れについて読者のみなさんが興味をもってくださり、活用する助けとしていただければ幸いです。

作品詳細情報

タイトル:
マストドン 次世代ソーシャルメディアのすべて
ジャンル:
コンピュータ・インターネットIT・Eビジネス・資格・読み物インターネットビジネス
著者:
まつもとあつし堀正岳コグレマサトいしたにまさき小林啓倫
出版社:
マイナビ出版
掲載誌:
ファイルサイズ:
4.9MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2019-2-3 ]

# 書評☆4 マストドン | Mastodonブーム概論から既存SNSとの対比,企業インタビューまで,今でも有効な分散SNSについての議論あれこれ

## 概要
2017-06-30に発刊された分散SNSのMastodonについて書かれた本だ。5人の著者によるオムニバス形式の内容となっている。内容は大きく以下の通りだった。

1. Mastodonブーム概論
2. 近年のSNSの流行り廃りからみたMastodon
3. 日産がMastodonに参加した理由
4. Pawoo運営元のpixivへのインタビュー
5. 分散SNSの可能性

2017-04に起きたMastodonブームの流れと,分散SNSの背景。さらに,近年のSNSの流れから,当事者として参加した企業へのインタビュー,既存SNSとの違いと利点など,Mastodonについて考えられる一通りのテーマが網羅されていた。

特に日産とpixivへのインタビューが入っているのが良かった。

いまだに議論されている内容もあり,考え方として参考になった。

## 参考
> ### p. 38: Mastodonのプロトコル
> 実はOStatusにも起源があり、「OpenMicroBlogσqing」というオープンプロトコルがそれに当たります。これはもともと、エヴァン・プロドロモウという技術者が2007年に開発した、「Laconica」というオープンソースのマイクロブログソフトウェア(後に「StatusNet」、さらに「GNU Social」と変遷)で採用されていたもの。
>
> プロドロモウ氏は翌2008年7月に、これをべースとした「ldenti.ca」というツイッター風のマイクロブログサービスを立ち上げました。しかし残念ながら、継続的にユーザーと資金を集めることができず、2012年12月にユーザー受付を終了しています。

Mastodonが当初採用していた通信プロトコルであるOStatusの変遷がまとめられており参考になった。

> ### p. 52: Mastodonの課題
> 最初の懸念は「犯罪への利用」です。これはマストドン特有の問題というわけではなく、人々のコミュニケーションが発生するツールにとって、避けては通れないポイントです。
> ___
> 2番目の懸念点は、「違法なコミュニケーションの氾濫」です。つまり麻薬の取引や売春など、違法行為に関する情報(時には違法な情報そのもの)を交換する場として、マストドンが活用されるのではないかという指摘です。大手SNSの場合、そうした情報がやり取りされているとなれば大きな批判にさらされますから、多くの予算や人員を投入してパトロールしていることが普通です。しかし誰でも立ち上げられるマストドンの場合、個人が大手SNS並みのパトロールを実施することは難しいですし、そもそも世間では「違法」とされる情報やコンテンツを交換することを目的として、インスタンスが開設されるかもしれません。
> ___
> 第3の課題は、技術面に関する問題です。これも技術、特にデジタルテクノロジーに関しては避けて通れないポイントなのですが、マストドンというソフトウェアが抱える問題点について、指摘する声が大きくなっています。
>
> その一つが、セキュリティ面での懸念です。

Mastodonの課題について考察されていた。仮想通貨もそうだが,自由に使えるソフトは犯罪に使われることが多い。Mastodon登場当初からこのような考察があり参考になった。

> ### p.78: 大事なのはツールではなく場
> 「マストドン」がよかったのは、繰り返しになりますが、ツイッタークローンのようなユーザーインターフェースを持っていたことです。だからこそ日本ではすんなりと受け入れられたのだと思います。もともと日本はッイッターユーザーが多い国ですから。
>
> そういう意味では「マストドンだったから流行った」とも言えるのですが、しかしマストドンでなくともよかったとも言えるのは、歴史は繰り返すものだからです。オープンな環境とクローズドな環境を行ったり来たりするのです。
>
> だから、「マストドンが流行るのかどうか?」という質問があったとして、あまり意味を感じません。使っている人はマストドンだろうがなんだろうが関係ないのですから。たまたま、そこに「マストドン」があったというだけなのです。
> ___
> マストドンらしさとは、繰り返しになりますが、分散したインスタンスの存在です。

SNSの歴史を見ても10年くらいで,オープン環境 (BBS) とクローズ環境 (mixi) をいったり来たりしているという洞察が書かれている。また,マストドンが日本で流行った理由として,ツイッターのようなUIを持っていたことと,タイミングがよかったというのを上げていた。そして,Mastodonの特徴は分散したサーバーであること,自分にあったサーバーの存在を上げていた。

> ### p. 104: マストドンの公式アカウント導入は認証がキーだった
> friends.nicoの最大の特徴は、必須ではないものの、マストドンアカウントとニコニコアカウントをひもづけできるところにあります。
>
> 「いまだに日産のアカウントって本物なの?ってよく言われてます(笑)。ニコニコ動画のIDとひもついているのはなりすまし問題の対策としても最適解でした。このおかげで少なくfriends.nico中では認証アカウント的にふるまうことができるようになったわけです」

Mastodonブーム当初から企業公式アカウントとして運営していた日産の話が書かれている。日産はかねてより,Youtubeやニコニコ動画などSNSを活用してファンの増加を測っていた。その一環としてMastodonにも参加したとのことだ。企業公式アカウントとしては,認証が大事になるようだ。たしかに,サーバーごとアカウントは自由に使えるので,なりすましの問題もある。他のアカウントとの連携は認証としてたしかにありだと感じた。

> ### p. 124: マストドンはpixivの何を変えるのか?
> 清水: コミュニケーションの「頻度」とその場所に滞在する「時間」が「活動の場」としては重要だと考えています。これまでpixiv内でのコミュニケーションというのは、「作品」を起点としたものだったのです。
>
> 新しい作品の投稿がない限り、なかなかユーザーは訪れてはくれません。つまり、作品の投稿やその閲覧という「能動的な」行動が伴わないと、コミュニケーションが生まれず、pixivを楽しんでもらおうとしても、きっかけがなかったわけです。

Mastodonの企業運営サーバーとしてブームの当初から運営が始まったpixivの担当者へのインタビューが掲載されている。pixivは自社のサービスのさらなる活性化という目的で活用しているようで,考えが参考になった。

> ### p. 140: pixivドメインブロック問題
> つまり、日本では許容される表現も、海外では文化的に受容される以前に、法律違反になり、インスタンスの運営者が罪に問われるおそれがありました。彼らも仕方なくPaWOOを遮断したはずです。
> ___
指摘されたのが、罪に問われる画像をサーバーに置いていることが問題の本質だということです。つまり、法律上は「所有」とみなされるわけです。
> ___
であれば、そこを技術的に解決しようと。そこで我々も、「各インスタンスの管理者がインスタンスごとにメディアファイルをキャッシュ(一時保管)しないという選択をとれる設定を加えてはどうか」という提案をさせてもらいました。法律的にもそれで問題ない、という結論となり、その方向で対応策がとられることになったのです。

ブーム当初に開発者のオイゲンの運営するMastodonサーバーがpixivをドメインブロックするという事件があった。この件に対してどのように対応したかが書かれていた。

> ### p. 156: これまでもあった、分散SNSの数々
> ッイッターやフェイスブックのような近年のSNSに対抗する分散型SNSにも、1章で紹介した「Identi.ca」、あるいは2010年に誕生した「diaspora*」といったものや、ここ数年でも「Synereo」「AKASHA」「Trsst」などといった複数の試みがあります。

初見のSNSがあった。

> ### p. 162: 人間行動をプロトコルにする
> OStatusは単一の規格ではなく、既存のいくつかのプロトコルを組み合わせたものでした。
>
> たとえばユーザーの投稿を世界中のサーバーにプッシュする「PubSubHubbub」という仕組みや、投稿に対してついたコメントがシャケが川を遡上するように発言者の元に戻る仕組みを記述した「Salmon」、そしてサービス上の個人を特定するための「WebFinger」などといったものです。

OStatusがどのように既存プロトコルを組み合わせているのかの説明があり,イメージがついた。

> ### p. 172: サーバー管理者の責任
> --- ロリ表現の画像をすべてNSFW指定したとしても欧州の管理者にとっては画像がキャッシュされているだけで問題になる。
>
> --- NSFWではない普通の画像でも、場所によっては法的問題が出てくるものはある。ロリが増加どうかだけを問題にするのはアメリカ中心的な考え方だね。
>
> --- ロシアでは悲しいことだけどLGBT関連の画像は単純所持でも違法になる可能性がある。こうした画像が連合タイムラインに入るとまずい。
> ___
> 中央集権的なSNSから、分散型SNSに移行するということは、データはよりユーザーに近い場所に存在することになります。しかしデータが手元にやってくるということは、それに対する責任もまた、インスタンスを運営する側にやってきます。そしてそれぞれのユーザーや、サーバー管理者は、その国の法律に従うことが要求されるのです。

> ### p. 202: ツイッターやフェイスブックとマストドンの対比
> 堀 もう一点、小林さんの問題提起の中に「ツイッターやフェイスブックのような」という比較がありますが、そもそもその対比がおかしいのではないでしょうか。設計上、そうなる必要がないのがマストドンなのです。
> ___
> 問題になるのは、「あなたはどのインスタンスに属していて、そのインスタンスがあなたにとって居心地の良い人々が集まる場所か」という点です。

ツイッターやフェイスブックとマストドンの違いとして,ローカルタイムラインを意図した意見だった。

## 結論
2017-04に巻き起こったMastodonブームから2か月のスピード出版であり,当時の熱狂を目の当たりにした著者たちによる洞察が記されている。

SNSの流れや運営していくうえでの問題,企業がMastodonへ取り組む際の考え方,そして分散SNSと既存SNSの対比など,Mastodonだけでなく分散SNS全般に通用する議論が展開されていた。

特に企業インタビューが入っているのがよく,当事者の生の声が入っており,参考になった。

分散SNSの今後を考えていくうえで,重要な議論があったように感じ,手元に置いておきたいと思える1冊だった。

パーマリンク: https://senooken.jp/blog/2019/02/06/

同じ著者の作品