ブックパス

ページの移動

キャンセル

OK

キーワード

セーフサーチ

成人向けコンテンツの制限

並べ替え

価格

円 〜

条件追加

カテゴリー

ビジネス

趣味・実用

小説

雑誌

コミック

女性コミック

男性コミック

ラノベ

気流の鳴る音 ──交響するコミューン

ブックコイン・WALLETポイント

0(今月中に0コイン失効 0

作品情報

あらすじ

「知者は“心のある道”を選ぶ。どんな道にせよ、知者は心のある道を旅する。」アメリカ原住民と諸大陸の民衆たちの、呼応する知の明晰と感性の豊饒と出会うことを通して、「近代」のあとの世界と生き方を構想する翼としての、“比較社会学”のモチーフとコンセプトとを確立する。

作品詳細情報

タイトル:
気流の鳴る音 ──交響するコミューン
ジャンル:
小説旅行・紀行
著者:
真木悠介
出版社:
筑摩書房
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.8MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2011-12-17 ]

 社会学者・見田宗介が変名である真木悠介名義で記した、比較社会学。本書は、カルロス・カスタネダがメキシコの部族社会で生きる呪術者、ドン・ファンの生き方を紹介した本を独自に会社くしていったものなのだが、ここで描かれているのは従来の社会学では把握しきれない、近代的な生活とは全く異なる世界の紹介だ。その中で、「恐怖」「明晰」「力」「老い」といった「乗り越えるべきもの」にどの様に対峙していくかの考察が主軸となっていく。
 …まぁ、正直言って、超自然的なものを取り扱ったかなりギリギリな本ではある。実際、本書に挙げられているような70年代的な、ヒッピーイズムに基いたコミューンというのは消失しているし、そこから生まれた負の遺産は消えずにいる。しかし、そんな事が頭を過りながらも読了後の高揚感は決して消えるものではなかった。
 それは、本書の主軸となるものが<土着的な生活>と<近代的な生活>の対立項であると同時に、決してそれが対立するものでも優劣が付くものでもないという事を科学的に見い出そうとする姿勢だからなのかもしれない。科学とは、狭い意味では近代的合理性に基いた考えの事を指すかもしれないが、レヴィ=ストロースが証明した様に一見非科学的なものから法則性を見い出し、それを近代的知性と同等に扱おうとする姿勢もまた科学なのだ。そう、本書は僕らを知らず知らずに縛り付けていた「近代の自明性」が何なのかを視覚化し、それを全否定する事もなく、足場まで崩さない範囲で、そっと解きほぐす。
 近代的合理性に凝り固って視野を狭くするのでなく、超自然的なものに自らを委ねて遊離するのでもなく、その両者を視界に捉えながら進んでいく道がある。成功や敗北、空虚さといった意味に縛られる事なく、死という有限さを前にしても、それでも歩くに足る道はあるのだ。自分の歩く道を。自分の生活の物語を。

同じ著者の作品