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それでもデミアンは一人なのか? Still Does Demian Have Only One Brain?

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作品情報

あらすじ

つねにベストは更新される。最新WWシリーズ始動!カタナを帯びた金髪碧眼の戦士、デミアン。記録上は存在しない特殊兵器。 楽器職人としてドイツに暮らすグアトの元に金髪で碧眼、長身の男が訪れた。日本の古いカタナを背負い、デミアンと名乗る彼は、グアトに「ロイディ」というロボットを探していると語った。 彼は軍事用に開発された特殊ウォーカロンで、プロジェクトが頓挫した際、廃棄を免れて逃走。ドイツ情報局によって追われる存在だった。知性を持った兵器・デミアンは、何を求めるのか?

作品詳細情報

タイトル:
それでもデミアンは一人なのか? Still Does Demian Have Only One Brain?
ジャンル:
小説SFSF(国内)
著者:
森博嗣
出版社:
講談社
掲載誌:
ファイルサイズ:
2.2MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2019-7-24 ]

新しいシリーズである『WWシリーズ』の一作目。
はたして新シリーズにする必要あったのか?っていうくらい、おもいっきり『Wシリーズ』の続きだ(笑)。そのまま『Wシリーズ』の11作目でも良かったんじゃないのかなぁ。
でも、あの二人のやりとりがまた楽しめるかと思うともう期待しかない。

本人達のセキュリティの関係でハギリ先生もウグイもキガタ・サリノも名前を変えているが、行動や性格はそのまま。たぶん『Wシリーズ』の最終巻『人間のように泣いたのか?』から1年~数年しか経っていないという設定だ。

顳顬に指をあてての通信とか、壁に寄りかかって腕を組んで会話する状況とかもう『Wシリーズ』好きにはたまらない。『Wシリーズ』を読んでない人には「こいつ何一人で盛り上がってんだ」って思われているだろうが・・・(というか「顳顬」って何?ってなっているだろうけどw)。

ただ、この『WWシリーズ』1作目は『Wシリーズ』はもちろんのこと『百年シリーズ』を読んでいた方がより楽しめると思う。特に今回は『百年シリーズ』の登場人物がかなりのキーワードになっている。僕は『百年シリーズ』を読んでいないので、ちょっとその辺が分かりにくかった。でも、当然、本シリーズでも真賀田四季博士がキーパーソンであることは変わっていない。

今回も「人間とは何か?」というのが根底に流れるテーマだ。
ウォーカロンやロボット、人工知能などそれぞれが進化をしていき、人間との違いがどんどん無くなってくる。
そして人間も老化や病気で死ぬことはなくなり、外見も自由に変えられる。
人が死ななくなる代わりに子供も生まれない。そして人間とほぼ変わらないウォーカロンが人間の代わりをするような時代。
この時代は、ある意味においては究極のディストピアとも言えるし、新しい人類の形とも言えるかもしれない。

本書を読んでいて改めて思ったのだが、本書では結婚している(ただ一緒に生活しているだけかもしれないが・・・)カップルが数組登場する。
もし人間が死ななくなったら『結婚』という制度はどこまで存続できるのだろう?

現在、人は結婚してもお互いが夫婦として生きている期間は最高でも80年くらいだ(20歳で結婚して100歳までお互いに生きたとしたら)。しかし、本書のような時代になったら、夫婦はお互いに100年でも200年でも生き続けることができる。
お互い、外見は若いままでいられるし(しかも外見に飽きたら違う外見に変えることも可能)、病気や介護の心配もしなくてもいい、当然、老人同士でよぼよぼの夫婦にもならない。

このような時代で、子育てもせず、お互い仕事をして経済的にも独立できたとしたら、夫婦という単位で生活する必要や意味はあるのか、そして配偶者を永遠に愛し続けることが本当に可能なのだろうか。
結婚するときは「死が二人を分かつまで」と誓うが、そもそも「死」が訪れることがないとしたらどうなのだろう・・・。

「だからこそ『結婚』しなければ永遠に孤独じゃないか」という言う意見もあるだろうし、「こんな相手と子供も作らず200年も300年も一緒にいられる訳ないじゃない。50年くらいまでならなんとか我慢できるだろうけどさ」なんて意見も普通に聞こえてきそうだ(笑)。
今は『卒婚』なんて言葉も流行ってきているので『結婚』のあり方も時代が変わるにつれ、変わっていくのだろう。

こう考えると進化した人間の未来の生活というものは、かなり今とは変わった生活をすることになるのだろうな。それこそ、セックスが無くなり、全ての子供が人工授精で産まれるというディストピア社会を描いた村田沙耶香の『消滅世界』に登場する『夫婦』像がそのまま実現するのかもしれない。

いずれにしても僕が死ぬまではこの本書に描かれる社会は実現しないだろうから、そこまで心配する必要はない。しかし、そういった未来を予想することは、こういう本を読まなきゃ絶対に思い浮かべないことだし、こういうことを考えることが今の自分の精神を活性化させることでもあるので、そこは読書人としては願ったり叶ったりだ。

という訳で、そういう話は油紙でグルグル巻きにして屋根裏部屋の片隅にでも置いておいて、本書はロジとグアトとの微笑ましいやりとりをニヤニヤしながら読むというのが正しい愉しみ方だ(←なんだかんだ言って結局、恋愛小説好き)。

本書で一番やられたシーンはロジとグアトのこのやりとり(※以下ネタバレ有り)。

  グアト『人間、どうなるかわからない。うん、たとえば、私が明日にも死んでしまうかもしれない。その場合、君はどうする?考えている?』
  ロジ『そんなことを考えていたら、生きていけません。それ以上変な話をしたら・・・・・・』
  グアト『どうする。もう見切りをつける?』
  ロジ『いえ、泣きます』ロジは無表情のまま言った。

あの彼女がこんなこと言うなんてねぇ。もう、先生。この幸せ者!

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