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花のさくら通り

荻原浩
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作品情報

あらすじ

倒産寸前のユニバーサル広告社。コピーライターの杉山を始め個性豊かな面々で乗り切ってきたが、ついにオフィスを都心から、“さくら通り商店街”に移転。ここは、少子化やスーパー進出で寂れたシャッター通りだ。「さくら祭り」のチラシを頼まれた杉山たちは、商店街活性化に力を注ぐが・・・・・・。年代も事情も違う店主たちを相手に奮闘する涙と笑いのまちづくり&お仕事小説。ユニバーサル広告社シリーズ第3弾。

作品詳細情報

タイトル:
花のさくら通り
ジャンル:
小説国内小説一般
著者:
荻原浩
出版社:
集英社
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.3MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2016-1-24 ]

 読みながら気分が明るくなって元気がでるのが、萩原 浩さんが書かれた「花のさくら通り」という一冊。桜色の表紙と優しいタッチの表紙絵が、書店の平台で目を引く一冊だ。

 倒産寸前のユニバーサル広告社は、都心のオフィスを追い出されるように引っ越すことになった。社長の石井とコピーライターの杉山、アートディレクターの村崎と紅一点のバイト猪熊の4人は、中型トラック一台での寂しい引っ越しとなった。
 環境の良いオフィスに移転すると思っていた社長以外の三人だったが、コンビニもカフェもない地方の駅前商店街に到着し、和菓子屋の二階にある新しいオフィスを見上げてため息をつくことになった。
 ユニバーサル広告社が新たにオフィスとした建物は、少子化やスーパー進出で寂れた”さくら通り商店街”というシャッター通りの一角。”さくら通り”とは名ばかりで桜の木はずいぶん前に伐採され、商店街の面々も過去の栄光を引きずって商店街の活性化には前向きではない様子だ。
 毎年行われている「さくら祭り」のチラシを頼まれたことをきっかけに、杉山は少しずつ商店街の面々と付き合い始めることになる。その縁で商店街に出没する放火魔を追いかけることになったり、さくら祭りを盛り上げることになったりするが、根本的な商店街の活性化には程遠い内容だった。
 それでも、さくら祭りが思いがけず成功したことや、高齢化が進む団地での販路を見出だし始めたことで徐々に商店街の面々が活性化に動き始めていく。しかし、そこに立ちはだかったのは、商店街独特のヒエラルキーと古い体質の古参達だった。
 この物語は「商店街の活性化」という縦軸に沿って、商店街に住み商売を営んでいる人々の悩み、若者の恋が横軸となって絡みながら進んで行く。また、主人公である杉山のプライベートなやりとりについても、じんわりと心を温かくしてくれる。

 なによりも、一生懸命に愚直に頑張る人々の努力が、少しずつだが実っていくという過程には読んでいて勇気付けられる。それも単純にスイスイと物事が運ぶのではなく、時には挫折したり時には思わぬ妨害にぶつかったりと読んでいてハラハラする。

 しかし、読み終わった時に心の中に流れるのは「努力は報われる」ということであり、「大切なのは人の縁だ」ということを感じることができるだろう。

 545ページとなかなかの長編なので気軽に読むという訳にはいかないが、秋の夜長にじっくりと読みには最適の一冊だ。

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