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作品レビュー
[ 2018-1-14 ]
「羽海野チカロングインタビュー」という見出しにひかれて購入。インタビュアーが吉田豪だもの。面白くないわけがない。読んだらこれがまあ、予想以上の濃い内容。なるほどねえ~と首をコクコクしまくり。
「3月のライオン」のあとがき漫画など、結構ヘビーに自虐的な感じ。まあそういう風に描く漫画家さんは珍しくないので、ある程度ネタなんだろうなと思っていたが、なんのなんの、羽海野先生、本気でああいう人なのだった。吉田豪さんにその自信のないオタオタぶりを大笑いされたのが、「カウンセリングみたい」で救われたそうな。こんな敏感で脆い感受性の人が、ああいう激しいものを描くんだ。まったく、表現者というのは並の人ではないとつくづく思った。
それで思い出したのが、山下洋輔が浅川マキのエピソードを紹介して(落ち込むとライブがあろうが何だろうが部屋から出られなくなるらしい)、「キチガイを小出しにできない人」だと評していたこと。これはある種の天才肌の人について言い得て妙だと思ったものだが、羽海野先生もそういう系譜の人なのだろう。才能というのは恐ろしいものだ。あ、考えてみれば、ハチクロもライオンもそういう話だよね。
ハチクロについても多くのページが割かれていて、これも興味深かった。最後のはぐちゃんの決断には「えーっ!?」という声も多かったそうだ(まあそうだろうなとは思う。フツーの少女漫画ならはぐちゃんは竹本君とくっつくだろう)。私はあれで「大団円」なのではなく、この物語は続いていくもので、すごく開かれた感じの終わり方だと思ったのだけど、それもそのはず、羽海野先生はすべての登場人物について、生まれてから死ぬまでの年表を作ってあって、どこからでもいつまででもお話しを作ることができると言っていた。いやあ、すごいわ。またハチクロが読みたくなった。
