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流血女神伝 帝国の娘 前編

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作品情報

あらすじ

カリエ、14歳。彼女は、ルトヴィア帝国の国境にほど近い小さな山村の漁師の家に育った。ある冬の日、カリエは、いつもは女の身で狩りに出ることを快く思っていない父親に、珍しく「狩りに行け」と命じられた。吹雪の森の中、獲物を求め歩いていたカリエの前に突然現れたエディアルドと名乗る貴族風の男。「おまえを迎えに来た」――気を失わされたカリエが攫われていった場所というのは・・・!?

作品詳細情報

タイトル:
流血女神伝 帝国の娘 前編
ジャンル:
ライトノベル女子向けラノベ
著者:
船戸明里須賀しのぶ
出版社:
集英社
掲載誌:
ファイルサイズ:
4.2MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2010-1-5 ]

<後編までのネタバレを含みます>

あれよあれよという間に劇的なイベントの数々が過ぎ去っていったという印象。時々淡白なほどにも感じられる軽快な文体のおかげで、途中変につまずくこともなく最期まで一気に読み進めることができた。実際にはかなりヘヴィーな内容を扱っているような気もするのだが、作者の計らいか作風か、必要以上に深刻にならないところが本当に凄い。一体どこを書いてどこを切り捨てるべきか、読者の視点からきちんと話を組み立てられる人なのだろう。
の割に、舞台となるルトヴィア帝国の政治状況や皇族の力関係、そこに絡む他国や民族問題のしがらみ等についてはかなり詳しく描写されているので、世界観がしっかりした厚みのあるファンタジーを読みたいという人にはお薦め。が、あくまでもコバルト文庫なので、どうしても少女漫画的お約束の嵐というか…ベタな設定のオンパレードと言わざるを得ないところはある。登場人物はやたらと美形が多いし、ツンデレ気質のクールな騎士とか、ひと癖ありそうな美貌の僧侶とか、男勝りで男装の麗人たる隣国王女とか…そんな感じのキャラクターばかりが登場し、しかも何やかやと恋愛面で絡む。最初は、読んでいて「おいおい、ときめいている場合じゃないだろう」とフラグ立ちまくる主人公の優柔さに面喰ってしまうのだが、これもコバルトならではの真骨頂といったところなのだろう。ただ、あくまで恋愛要素はテーマの一つに過ぎず、ラブコメ要素とシリアスな政治要素が複雑に絡み合うのは見事だ。ムチ、ムチ、ムチ、アメぐらいの勢いで読者を上げては落とし、落としては上げてくれる作者の手腕には素直に翻弄されざるを得ない。

あとは、主人公のカリエが14歳ということもあり、思春期の心の移り変わりには全編を通じてかなり精神が振り回されたような気がする。とっくに10代を終えた身であらためて読むと、始終泣いたり笑ったり憤ったり、目まぐるしく変動する少女の心がとにかく忙しいのだ。凄まじい逆境に絶えず立ち向かっていくかと思いきや、同じ時間軸で恋愛にも現を抜かす、この元気で頑丈なヒロイン(?)の気概が、けれども物語の今後のシリーズを引っ張っていってくれるのだろう。

また、個人的には今後シリーズを引っ張っていくのだろうカリエとエディアルドの関係に胸を打たれた。普通の少女小説であれば、終盤辺りで思いを寄せ合う関係になるような二人だが、この『帝国の娘』においては、その関係はもっと神聖で高潔なものであるような気がする。無論、そこには本物のアルゼウスという越えられない至高の存在があるのだが、それ故あえてエディアルド自身の「意志」を自らに求めたカリエは本当に立派だと思った。憎しみに始まり、同情や軽蔑を経て、このでこぼこな二人が今後どのような運命を共に渡っていくのか、今から続編を読むのが本当に楽しみだ。

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