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作品情報

あらすじ

「じいちゃんなんて、早う死んだらよか」。

ぼやく祖父の願いをかなえようと、孫の健斗はある計画を思いつく。自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、転職のために面接に臨む日々。
人生を再構築していく中で、健斗は祖父との共生を通して次第に変化していく――。

瑞々しさと可笑しみ漂う筆致で、青年の稚気と老人の狡猾さを描ききった、羽田圭介の代表作。

新しい家族小説の誕生を告げた第153回芥川賞受賞作が待望の文庫化!

作品詳細情報

タイトル:
スクラップ・アンド・ビルド
ジャンル:
小説国内小説一般
著者:
羽田圭介
出版社:
文藝春秋
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.3MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2018-5-20 ]

介護の話、とだけ知っていたけれど、気付けばわりと切実な思いで読んでいた。

身体の節々が痛み「死にたい」とボヤく祖父と、退社後無職で就職活動中の孫。
祖父を早く死なせてあげようと、孫が「孝行」に励む姿に重ねるものがある。
これは、虚構ではないなあ、と。

老人を弱者と捉えるのならば、相応しい振る舞いとは、一体どのようなものなんだろう。
可哀想なほどに卑屈で、生きることへ倦んでしまった姿には、欠落した何かがある。
けれど、その弱さを翻して、それを当然の権利のように求める傲慢さもまた、受け容れてあげられない。

オトシヨリ ニハ シンセツ ニ。
頭ではわかっているのに、声を荒げてしまったり。
もはや感情をぶつけるしかない、そういう場面に遭遇して、居心地の悪い思いもする。
でも、何でも代わりにしてあげる親切さが、能力を奪っているのだという指摘にも、頷ける。
助けて欲しいのは、どちらなんだろう。
生きようとしているのは、どちらなんだろう。
難しい。

一方で、祖父には語らざる確かな世界がある。
それは孫に「キュウコウカ」を経験させ、言葉として彼の中に根付かせる。

「特攻行きそびれの、おまけの人生にしては上出来だった。そういったことを繰り返し何回も聞かされた健斗としては、身近な人の生きた証言を聞けてよかったと思ういっぽう、別のところでたちあがった全然知らない物語が祖父やその血縁者たる自分へも勝手に接続してくるような居心地の悪さも感じた。」

自らに否応なく流れるルーツの持つ、生っぽさ。
思わず頷いた部分だった。
私は私だけで成り立っていない。
でも、私は私として成り立つしかない。
その狭間の中にあるラストシーンも、好き。

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