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作品情報

あらすじ

この秋、没後90年を迎える歌人・若山牧水。
その短歌は教科書にも取り上げられ、ひろく愛誦されている。

白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ

けふもまたこころの鉦をうち鳴しうち鳴しつつあくがれて行く

幾山河越えさりゆかば寂しさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく

これらの名歌が生まれた背景には、小枝子という女性との痛切な恋があった。
早稲田大学の学生だった牧水が若き日をささげた恋人には、秘密があった。彼女は実はすでに人妻で、郷里に二人の子どもまでいたのである。
恋の絶頂から疑惑、別れまでの秀歌を、高校時代から牧水の短歌に共感し、影響を受けてきた人気歌人が味わいつくす、スリリングな評伝文学。

作品詳細情報

タイトル:
牧水の恋
ジャンル:
文学・詩集詩・短歌・俳句短歌・俳句
著者:
俵万智
出版社:
文藝春秋
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.8MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2018-10-7 ]

少年のゆめのころもはぬがれたりまこと男のかなしみに入る     若山牧水

酒と旅と自然を愛した歌人、若山牧水。宮崎から上京して早稲田大学で学び、明治末期には、石川啄木の最期をみとった人物としても知られている。歌人の俵万智は、この度、そんな牧水の学生時代の恋愛に着目した評伝を執筆した。
若き日の恋人・小枝子は、牧水に次々と恋の歌を詠ませた女性である。

山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇【くち】を君

対句を用い、女性の魅力的な「唇」をクローズアップさせた秀歌だ。このような情熱的な恋歌が生まれながらも、二人の関係は、悲恋に終わった。牧水のすぐ傍らに添いながら、「唇」をなかなか許さなかった小枝子には、ある事情があったのだ。
その事情は、大悟法【だいごぼう】利雄が粘り強い取材で真相に迫っており、本書ではその先行研究も生々しく引用されている。実は小枝子は、2人の子どもがいる人妻であり、牧水と恋仲になった後、さらにほかの男性の影もあった、等々―
悲恋を経て、牧水は歌集が評価され、歌人として着実に歩んでいった。掲出歌には、「少年」の甘やかな夢から脱し、「男」として大地を踏みしめた質感がある。成人男性の悲しみとともに、精神的な自立も得たのだろう。小枝子への恋心は、晩年も消え去らず、43年の生涯を終えたという。
さて、本書では、俵万智の初期作品に牧水の影響が大きかったことが明かされている。自作の秘密を評伝の中にとけこませるとは、粋【いき】な趣向と思う。
(2018年10月7日掲載)

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