ブックパス

ページの移動

キャンセル

OK

キーワード

セーフサーチ

成人向けコンテンツの制限

並べ替え

価格

円 〜

条件追加

カテゴリー

ビジネス

趣味・実用

小説

雑誌

コミック

女性コミック

男性コミック

ラノベ

コンビニ人間

ブックコイン・WALLETポイント

0(今月中に0コイン失効 0

作品情報

あらすじ

「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作

36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。

「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。

ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが・・・・・・。

累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。

解説・中村文則

作品詳細情報

タイトル:
コンビニ人間
ジャンル:
小説国内小説一般
著者:
村田沙耶香
出版社:
文藝春秋
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.7MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2018-11-4 ]

「普通」の定義は不確かに揺れていて、人は虚しくその中心に吸い寄せられるように「擬態」しているのかもしれません。それが上手いか下手か、だけの問題。その中身は考え方によってはスカスカなのかもしれません。だけど、見方によっては十分な個性があるのかもしれません。サカナクションの「アイデンティティ」をお供に。

恵子は死んだ小鳥を見て「かわいそう」と思うのではなく「食べよう」と考えるような子供でした。慎重に思考するにしても、前者の方が「子供らしい」「常識的」「普通」なのでしょう。だけど、他の子供たちが死んだ小鳥のために花を摘む行為を見て、花に対する無自覚な残虐さと小鳥への憐れみに矛盾を感じている姿はある意味で聡明です。それに、「食べよう」という言葉はその対象が小鳥であるばかりに不気味がられましたが、人間は沢山の他の動物を食べて生きています。動物は共生するものでもあり、観賞の対象でもあり、資源でもあります。ここでの恵子の抱える問題の一つは、彼女もまた、他の子供たちの思考を想像することは出来ない、というところです。「擬態」までは出来ても「共感」は出来ません。その原因は、彼女の徹底した物事への無関心です。ゆえに、表面的にはそれらしく装って社会に混ざることが出来るけれど、一対一で接することになった途端、粗が露呈して「異物」と見なされてしまいます。

そんな中、恵子にとって一番「擬態」しやすかったのがコンビニ店員でした。36歳の彼女はコンビニ店員としてはきっと相当優秀です。それでも、彼女はあくまで表面的に装うことしか出来ていないようです。確かに、仕事上の知識や経験は全くもって他に応用される気配はありません。そのためか、彼女は36歳という年になっても、中身が空洞のような人のままです。自他両方への無関心がそうさせるのでしょうか。

恵子は、自分と他の人達をきっぱり分けて、他は自分とは明らかに違う者として描写します。それは、家族をはじめとする周りの者に自分が異質な存在だと言われ続けてきたからこそなのですが。ただ、果たしてそうなのだろうか、という疑問がぼんやりと残ります。まず、意地悪な目でみると、恵子以外の人が「普通」だとすれば、何とも虚しいものがあるのです。どの人も、中身らしい中身は無さそうなのです。確かにいかにも「普通」らしい人生を歩んでいる側の人が何人も出てきます。だけど、恵子がもう少し毒舌なら「しょーもな」位言いそうな具合です。むしろ「普通」らしい人達も、実はそれぞれに「普通」に上手いこと「擬態」している、と考える方が少しはマシにみえます。

では、中身らしい中身は無ければいけないものなのでしょうか。それが、意外と要らないのかもしれない、焦らなくてもいつの間にか出来上がっているものなのかもしれない、というのがオチ、と読むと明るすぎるでしょうか。

質の高い物語ゆえ当然だと思いたいけれど、まだまだ咀嚼しきれていないし、思うところも、ぐちゃぐちゃな状態で頭にふわふわ漂っています。フラストレーション。一番消化不良なのが白羽さんという存在。でも、考え始めると、楽しくはなくて、何だか辛くなる一方なので、この辺りで閉じておきます。

同じ著者の作品