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虚偽自白を読み解く

価格:880(税抜)
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作品情報

あらすじ

無実の人が罪を自白し,犯行内容を語ってしまう,そしてかつての自白を撤回する.体験したものにしかわからないその過程はどういうものか.足利事件,狭山事件,袴田事件(清水事件),日野町事件を実例に,虚偽自白を見抜き,むしろ,冤罪の温床にもなってきた自白という人証を逆手に取り,無罪を勝ち取る道筋を示す.

作品詳細情報

タイトル:
虚偽自白を読み解く
ジャンル:
社会・政治・法律法律
著者:
浜田寿美男
出版社:
岩波書店
掲載誌:
ファイルサイズ:
2.8MB
配信方式:
ダウンロード

作品レビュー

[ 2018-10-8 ]

 やってもない人がなぜ罪を告白するのか、やってもない犯行についてなぜ具体的に語れたことになってしまうのか、自白が嘘であることをどう証明するのか、自白に落ちる被疑者の心理、捜査官や裁判官の心理について、過去の具体的な事件をもとに説明した本。
 2年以上前に、中公新書で別の著者の『証言の心理学ー記憶を信じる、記憶を疑う』という本を読んだことがあった。その中でも供述分析の話があって、ブクログの当時の記録を読むと「そんなに興味深くは読めなかった」とおれは書いたが、この本はほとんどが「供述分析」で、話は分かりやすく、それなりに興味を持って読むことができた。ポイントの1つは「逆行的構成」、つまり「無実の人が自白に落ちて犯行筋書を語るときは、犯行の結果たる事後の『事実』がまず与えられている。そのうえで、それを自分がやったとすればと考えて、そこからそれまでの『計画』や『準備』、そして『犯行』の流れを『逆行的』に構成する」(p.193)というプロセス。だからこそ、突っ込んでみると矛盾や無計画さが露呈してしまう、という話で、いかに矛盾しているかを突くことで、被疑者の自白は虚偽であることを証明する、というような話だった。実際、足利事件、清水(袴田)事件、狭山事件の自白内容を検討していき、確かに不自然かつ言わされた、という感じがよく分かる。「賢いハンス」という、周りの人の空気を読むことで、求められている答えが分かってしまうという、そういうことが動物じゃなくても人同士でも起こるのか、ということに、少し驚いた。
 あとは、取り調べの様子というのが、実際のテープを起こしたやり取りが紹介されているが、生々しくて、ちょっと読むのがつらい。「『な、な、素直になって、勇気を出しなさい、勇気を。ね。勇気を出して謝罪しなさいよ。な。そんなことで頑張ってるじゃない、袴田』『袴田』『な。袴田。』『被害者に、あ、謝るのがだな、おまえ救う道だよ。』」(pp.82-3)という、こんなことを延々と寄ってたかって言われ続けて、自分の言い分は一切聞いてもらえず、密室空間で孤立無援で長時間暗示にかけられたら、そりゃ精神的に参ってしまうだろうし、自白をして、そこから犯人を演じ続けるというのも、そんなに異常なことではないということがよく分かった。もし万一おれにこういうことが起きたら、一体どうなるんだろう、と思うと、怖い。
 ここからはこの本とは直接関係ないのだが、最近こういう本を読んでみたのは、実は最近、ある企画で「模擬裁判」というのがあって、おれがたまたま被疑者役をやった、という経験をしたからだった。検察官役の人に「なんでやってもないのにやった、って言ったんですか」とか、「やってもないのに、なんでここまで具体的に語れたんですか」みたいな質問をされた。その時に、本当にたまたま2年以上前に『証言の心理学』を読んでいたことがすごく役に立った。しかもおれは模擬裁判とか一切やったことも見たことも、もっと言うと本当の裁判の様子もあまり知らないので、あんなアドリブの要素があるなんて思ってなくて、正直半ばうろたえそうになったが、『証言の心理学』を読んでいたことが自分を救ってくれた。(…知ってたら直前にちょっと読み直すとか、この岩波新書を読んでたりとかしてたのに。とか少し思ったりして。)という訳で、やっぱり色んな本を読んで、こうやって記録をしておくというのは大事なことだなあと、勝手に思った。でも、もし例えばおれが極度に口下手だったら、とかあるいは本物の裁判ならあそこまで適当に話せないだろうし、とかあるいは検察官がものすごい怖い雰囲気の人だったら、とかを考えると、裁判って怖いと思う。発言の仕方やどれだけ喋れるかということが、有罪無罪に影響を与えるのだとすれば、裁判って何なんだろう、とかを考えたきっかけになった。そういう、普通なら出来ないような経験をするという、貴重な機会を得られて、本当に幸運だったし、この機会を与えてくれた人に感謝したいと思った。(18/10/02)

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