ブックパス

ページの移動

キャンセル

OK

キーワード

セーフサーチ

成人向けコンテンツの制限

並べ替え

価格

円 〜

条件追加

カテゴリー

ビジネス

趣味・実用

小説

雑誌

コミック

女性コミック

男性コミック

ラノベ

美しき愚かものたちのタブロー

ブックコイン・WALLETポイント

0(今月中に0コイン失効 0

作品情報

あらすじ

国立西洋美術館、開館60周年!
記念すべき年に贈る、原田マハにしか書けない日本と西洋アートの巡りあいの物語。

日本に初めて「美術館」という概念をもたらした破天荒な実業家、松方幸次郎。
戦火のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行機乗り、日置釭三郎。
そして、敗戦国・日本にアートとプライドを取り戻した男たち――。
奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。

日本人のほとんどが本物の西洋絵画を見たことのない時代に、ロンドンとパリで絵画を買い集めた松方は、そもそもは「審美眼」を持ち合わせない男だった。
絵画収集の道先案内人となった田代との出会い、モネとの親交、何よりゴッホやマティスといった近代美術の傑作の数々により、美に目覚めていく松方。

だが、戦争へと突き進む国内では経済が悪化、破産の憂き目に晒される。
帰国した松方に代わって、戦火が迫るフランスに単身残り、絵画の疎開を果たしたのは謎多き元軍人の日置だったが、日本の敗戦とともにコレクションは数奇な運命を辿りる。

美しい理想と不屈の信念で、無謀とも思える絵画の帰還を実現させた「愚かものたち」の冒険が胸に迫る感動作。

作品詳細情報

タイトル:
美しき愚かものたちのタブロー
ジャンル:
小説国内小説一般
著者:
原田マハ
出版社:
文藝春秋
掲載誌:
ファイルサイズ:
0.6MB
配信方式:
ストリーミング、ダウンロード

作品レビュー

[ 2019-6-2 ]

国立西洋美術館の成り立ちと、松方コレクションの劇的なストーリーが描かれています。上野にある国立西洋美術館、いつも人が賑わっていて、今や当たり前のように存在する美術館にこのようなすごい秘話があったとは正直とても驚きました。

川崎造船所(現:川崎重工業)の社長でもあった松方幸次郎氏。なんと豪快な人がいたことか。あきれるやら感心するやら。まだ日本で本物の西洋画を見ることができなかった時代に、私財を投げ打って豪快に印象派を中心とした作品を数千点も買い集めたというのは、ちょっと考えらえないぐらい圧倒的な財力と行動力。しかも日本の若者のために、これからは本物の絵画(タブロー)を見て学んでいくことが日本のためになるという、すごく熱い思い。日本美術界にこんな豪傑がおられたとは改めて本当に感激しました。

それにしても、この松方コレクションをめぐっては、時代に翻弄されて本当にドラマティックなことがあったんですね。1920年代といえば私が憧れる、パリが最も華やかだった時代。松方氏は、なんと、白内障でもう目がかなり見えなくなっても睡蓮の大作に取り組むモネにジヴェルニーで何度か会い、直接買い付けているというではありませんか。松方氏は絵画そのものよりも人を見て買い付けていたようです。モネという人物のすばらしさに触れて、ジヴェルニーのアトリエにある絵を丸ごと全部買いたいと申し出たというのは、モネファンとしてはたまらない話です。

しかし、時代が時代。世界中が戦争をした時代に突入し、誰もが知っているようにパリはナチスドイツに陥落し、占拠されていたのですから、本当にその時代によくぞ松方コレクションが生き残ったと思います。ナチスドイツは、フランスを中心とした前衛画家の絵を否定していたようですから、見つかっていたら間違いなく破壊されていたんではないかと思います。そういう意味では、松方氏の熱い熱い思いによりコレクションされたこと、そしてそれをナチスドイツから死守した人、そしてフランスに接収されたコレクションを「寄贈返還」してもらうために働きかけた人、実に様々な人の必死の思いが襷渡しのようにつながって、本当に奇跡のように現代に受け継がれているんだなと改めて驚愕せざるを得ませんでした。

正直この本を読むまでは、松方氏という金持ちの人がホイホイとコレクションして寄贈したんだろう、ぐらいにしか思っていませんでしたが、これほどドラマティックな話が背景にあったとは信じられないぐらい驚き、また日本国内でそんな貴重な絵画を観れるとはなんと自分たちは恵まれているのかと感謝の思いでいっぱいになりました。

2019年の6/11から始まる国立西洋美術館での「松方コレクション展」。フランスがどうしても返還してくれなかったゴッホの「アルルの寝室」もオルセー美術館からやってくるようです。モネ、ルノワール、ドガ、マネ、ゴッホ、ゴーギャン、松方コレクションが大集結して見られる非常に素晴らしい機会です。私は是非ともこの機会に堪能しようと思っています。

ちなみにこの物語は3年前にマハさんが「たゆたえども沈まず」の件で国立西洋美術館の館長さんにインタビューしていた際に、3年後に「松方コレクション展」をすると知ったそうで、是が日にもその開催日までにこの本を間に合わせたいというマハさんの熱い思いも込められています。その思いをしっかり受け止め、鑑賞してきたいと思っています。

同じ著者の作品