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サカナとヤクザ ~暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う~

(172)
価格:1,440(税抜)

作品レビュー

[ 2019-12-21 ]

[このレビューにはネタバレが含まれます]

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[ 2018-12-17 ]

さすが話題になるだけあって、強烈なインパクトの一冊。漁業というものに対する見方が変わってしまいそうだ。

何も知らず「いただきまーす」と食べていた魚の背後に、これほど黒々とした闇があったとは。しかもそれがほとんど公然としたもので、知らない関係者などいないと断言されていることが最も衝撃的だった。あれがうまいとか好きだとか、安いだの高いだの、好きなことを言いながら、一方で「資源保護」と言われればウンウンそうだよねとうなずく「普通の消費者」は、この実態をどう考えればいいのか。

最初の方の、アワビやナマコについては、へぇ~、そんなカラクリがある(あった)の!と驚きつつも、まだまだ気楽に読んでいたのだ。自分は食べないし、関係ないもんね、と。ウーンと唸ってしまったのが、後の方のカニとウナギ。いや、たまにしか食べないんだけど、それだけにご馳走感が大きいわけで、でも、これまで食べてきたののおそらく半分以上は密漁品だったんだろう。

取り締まる側も漁業者も流通から小売り関係者も研究者も、皆知っていて、でもどうにもできない底知れない闇。法規制を強めても、必ず抜け道が作られる。第一、本当に密漁や密輸を完璧に閉め出したとしたら、一体魚一匹にいくらの値段がつくことになるのか。「食べない」という選択を私たちはできるんだろうか。考え込んでしまう。

ヤクザや香港マフィアがからんだ密漁・密輸の実態の他にも、著者が潜入取材した築地市場の有様や、銚子港の荒々しい来歴など、驚くべき話がいろいろ出てくる。著者はヤクザ取材が長いそうだが、腹を据えて書かれただろうことがひしひしと伝わってくる。ただ私には、著者の文章にはちょっとひっかかる感じがある。ことの性質上、詳細を書けずにぼかしてあるところも多いことは重々わかっていて言うのだが、前後関係がよくわからなかったり、すっきり腑に落ちない箇所が結構あった。元週刊誌記者らしい読みやすい文章でもあり、他にそういう意見を聞かないので、ごく個人的な感覚かもしれないが。

[ 2019-02-27 ]

サカナ、サカナ、サカナ、魚を食べると、ヤクザ、ヤクザ、ヤクザ、ヤクザが儲かる♪

密猟、築地、北方領土からシラスウナギの密輸まで、福島原発に潜入取材をした鈴木氏の次のターゲットは密猟ビジネスだ。

日本でどれだけのアワビが密猟されているか、ある推定では日本で取引される45%、市場規模は40億円にあがる。ウニ、カニ、ナマコ、シラスウナギなどを合わせれば100億を超える。利益の割には捕まっても微罪であり、検挙するには丘に上がったところで機材と獲物が揃った現場を押さえるしかない。北海道や東北の港には密猟をシノギとした組が各地に存在している。

密猟品はどのように市場に流れるのか、ナマコは内臓を抜いてから塩蔵で中国に輸出される。ウニも加工が必要だ。アワビは仲介者にロンダリングされ市場に流される。流通過程では密猟品だと疑いはしても善意の第三者にとって正規品より安く買える密猟品は無視できない。密猟者にはヤクザの雇われ部隊もいれば不良漁師もいる。同様に加工屋にも仲買いにもそして築地の仲卸にも密猟品を扱うものはいる。鈴木氏は築地にバイトとして潜入し築地のアワビを一番売るカリスマから聞き出した。「ああ、(密猟アワビは)売られているよ」

「密猟が悪いっていっても、そうしないと需要に追いつかない。やりたくてやってるわけじゃない。みんな生活かかってんだ。」「業者の顔を札束で叩くような真似をする大企業も、消費者だって共犯だべ」業者の言い訳はどんな場合も似たようなものだ。

発電所のまわりは漁業権が設定されていないため密猟者の庭になっている。しかし最も広大な海域は北方領土だ。ソ連時代、スパイ容疑で拿捕されれば、ソ連で何が起こっても泣き寝入りだ、海岸から中間ラインまで一番近くでは2kmもない。根室の漁師は危険を覚悟で出漁し昭和56年末までに1200隻、8500人が拿捕され1/3の船が沈められた。同時期、情報提供の代わりに領海内での漁を黙認されたレポ船が登場する。ソ連が実効支配するが建前としては日本の海。ここでの漁をやめさせるにも適用できる法がない。昭和50年ごろにはここに暴力団が目をつけハイスピードで巡視船を振り切る特攻船を繰り出した。ソ連が実弾を撃つようになり特攻船は消え代わりにロシアの漁師が密猟したカニの密輸が始まった。

戦後、港では毎日のように賭場が立ちヤクザと漁師の距離は今よりもかなり近かった。前浜で獲れる獲物は住人の物という漁業権は日本独自のもので、網元や庄屋が独占していた。そこにヤクザが目をつけ癒着が始まる。沖仲仕や人足の手配から誰でも雇う築地市場まで密猟がなくてもヤクザが入り込む機会は多いのだ。暴力の港と呼ばれた銚子では市民が共産党よりも高寅一家に近かった。

日本の漁業問題を指摘し続ける東京海洋大の勝川教授が終わりにでこう述べている。「あまりにも地雷が多すぎて下手に突けない」漁業権から流通過程まで手を突っ込まないとヤクザの密猟はビジネスとして成立してしまうが、これを変えるには既得権を持つ関係者の多くが反対するのだろう。

[ 2019-01-08 ]

不可視化された日本の漁業課題の特殊性を反社会の文脈から読み解くノンフィクション。著者の専門性を端緒に実地調査と文献から、ヤクザ社会と漁業の密接なシノギの実態を描く。なぜ日本の漁業に絡まり解けない面妖な構図が生まれたのか、遡れば戦前から始まる海のシマを巡る物語を見るにつけ、読者自身も反社会勢力の末端構成員であることを突きつけられる。巨大な権利と利権とが後戻りできないまでに縺れ合い、四方を海に囲まれた国の一端を象徴する。

[ 2018-11-29 ]

サカナとヤクザ:暴力団の巨大資金源「密猟ビジネス」を追う。鈴木智彦先生の著書。サカナとヤクザにこんなつながりがあったなんて驚き。ルールを守って真面目に働いている漁師さんたちからすれば、ヤクザ・暴力団による密漁ビジネスなんて絶対に許されないし言語道断。しかもそれがヤクザ・暴力団の資金源になってるなんてあってはならないこと。政治家や農林水産省のお役人はヤクザや暴力団による脅しや報復におびえずにきちんと仕事をして密猟ビジネスを取り締まってほしい。

[ 2018-11-30 ]

ラジオ番組「荻上チキSESSON-22」に著者がゲストで来ていて興味を持ったので読んでみた。

魚の密漁の実態に迫るドキュメント。非常に、とっても、ベリー面白かった。

東北でのアワビの密漁。そしてさらに深く取材するために、築地の仲卸業者のアルバイトまでする著者。あのターレーは1トンもの荷物を積めるそうだ。

そして取材で北海道へ。ナマコの密漁でしこたま儲けた者たちの話。その手口。さらに千葉へ。ヤクザが漁業に思いっきり関係していた街、銚子。そしてまた、北海道へ。今度は根室。カニの密漁と、北方領土でのロシアとのせめぎ合い。レポ船という言葉の意味がやっと分かった。日本の情報をロシアにレポートするスパイ行為をする代わりに密漁を許された船という意味だそうだ。

最後はウナギ。我々の口に入るウナギは密漁されたものかも知れない。台湾はウナギの輸出を感じているそうだが、日本の業者のオーダーに応じて、台湾から香港にシラスウナギを密輸し、香港から中国に輸出(関税がかからない)し、中国から日本に輸入する。またヨーロッパウナギはワシントン条約で輸出が感じられているはずなのに、それも密輸されている。もちろん日本に。

象牙がけ抜かれて殺された象の姿を見ると、中国人が象牙だけ欲しがったんだろう、などと思うけれど、ウナギに関しては日本人食いすぎなのかも知れない。

というような、身近な魚に関して、深い取材をしないと分からないような話だらけで、すごく楽しませてもらった。タイトルほど「スキャンダラスでいい加減な飛ばし記事」っぽい感じはせず、硬派なドキュメントだった。

[ 2019-07-31 ]

三陸のアワビ、ナマコの密漁、暴力の港銚子、根室のカニ、そしてウナギシンジケート…

密猟者、市場、そして消費者の共犯だと、つくづく思う。

「知らなかった」では済まされない。けど私にできることは本当に少ない…

人間の食欲って恐ろしいな。地球を食い尽くすつもりかね。

鈴木智彦さんの、命がけの取材のおかげ。お体お大事に。

[ 2019-03-27 ]

昔母から『あそこの家は浜の子だから(自粛)』、浜の子つまり漁師の子はなんせ喧嘩早い、口が悪い、柄も悪い(自粛)と諭され、そもそも私の故郷自体が地元ではヨハネスブルグと呼ばれ(自粛)、まあ、そんな輩が多い地域だったこともあり、私自身小さい頃からヤクザ屋さんを見慣れているのではありますが、どうも漁師=ヤクザと言う偏見を母は持っていて、確かに知り合いの漁師さんの柄は悪かった(笑)でも偏見はいけません。駄目ですよ皆さん。しかしこの本を読むにあたり漁師とヤクザの繋がりと言うのは(自粛)そして母の偏見が(自粛)本当にありがとうございました。
我々消費者が求めるから密漁が有り、密漁が儲かるからにヤクザが絡み、北海道ではロスケが国ぐるみでやらかす程儲かる商売で、消費者、密漁者、ヤクザ、ロスケ、地元民のウィンウィンと言う訳の分からん図式からこれは必要悪となり、地元警察も緩々と言う何とまあ昭和な空気が北海道のとある漁師街には漂ってるんでしょうか。余所者が来るとロックオンされるそうなのでご注意を。

他築地市場の闇も体当たり取材で面白い。そして最近話題のシラス、そう鰻ですね。香港では漁れるはずの無いシラスが何故か日本に大量に輸出される鰻の闇。またこれがラスボスは日本と言う壮大なオチにおいw謝れお前らwと闇が深くてそっと本を閉じました。おやすみなさい。

[ 2019-02-13 ]

「水産業界が変われないというなら、消費者に現状を知ってもらい、社会問題化する必要があります」と、後書きに東京海洋大学勝川氏の弁。まさにそのためのインパクト多大なる一冊。
闇金ウシジマくんで描かれてないのが不思議なくらいの搾取と暴力の闇。漁業はかつては原始的略奪産業だった、とあるが、日本では今でも原始的なままの部分が大きいのだろう。世界最大級のギャング組織であるヤクザと、事実上の下部組織である一部の卸・仲買がこれだけ深く根を張っていては、乱獲による漁獲高減少は「共有地の悲劇」のようなモラル的問題ではなく、取りつくして次のシノギという餌に目が行くまで避けられないだろうという諦念。買うやつがいるから獲るんだ(盗るんだ)、というもの言いには、そんじゃもう買わねえよ、と応え、ウナギだけではなく本書で上げられるた品目については当面消費を控えようという思いになる。
根っこを辿ると漁業権(日本にしかない)、大宝律令にまで遡り、GHQでも撤廃できなかったいうので根が深いなんてもんじゃない。
そして今や密漁の元締めは大手水産会社。昔に比べて搾取される人、犠牲になる人は確実に減っているのかもしれない。ただ、回復困難な水産資源が枯渇するだけだ。知らぬまま、あるいはうすうす感づきながらもそれを良しとするなら仕方ない。

[ 2019-05-03 ]

カニやうなぎは食べない。値段が高いこともあるが、どう考えても獲り過ぎだと思うから。実際、本書にもうなぎが絶滅危惧種に指定されたことが書かれている。なのになぜ、土用の丑の日になるとスーパーはおろかコンビニでまで、しかもそれほど高くもない値段で売られているのか? そのカラクリを知りたくて本書を手に取った。
……驚愕する内容だった。50年も生きていれば、世の中が綺麗事だけで動いているわけではないことくらい知っている。いや、それにしてもなあ……。本書のタイトルは「ヤクザ」だが、実際はそうではない人達も「密漁」に加担していることを知り暗然とした。

[ 2019-02-08 ]

鈴木智彦『サカナとヤクザ』読了。

本書に書かれている通りならば私達が水産物を口にする度闇社会に資金が流入している事になる。
表立っては暴対法で締め付けながら一皮剥けば…

戦後直後、食管法を厳守し闇米を食べずに餓死した山口良忠判事の様に海産物を一切口にしない、なんてえのは不可能。
不可能故にこの闇は広大にして深淵…

[ 2019-05-05 ]

力作。根室、昔は景気が良かったと聞きますが、レポ船に特攻船にロシアとバトるヤクザ、そんな事情があったとは。確かに農業系にはヤクザの話は聞きませんね。

[ 2019-01-12 ]

築地市場など漁業市場とヤクザが如何に癒着しているかよくわかってますます魚を食べたくなくなった。第1章三陸アワビ密漁と第2章の築地市場潜入は面白かった。が、後の北海道のナマコ密漁と銚子漁港のヤクザの歴史、北海道のカニをめぐるロシアとの歴史、ウナギをめぐる九州、台湾、香港の話は古い内容や、現地突撃が中途半端で微妙だったので読み飛ばした。

[ 2018-11-04 ]

《「観光客も、北方領土を視察に来る政治家先生にも、ホテルで密漁のカニが出される。どこまでいっても消えない後ろめたさが根室にはある」》(p.191)

《「夜の海に慣れちゃうと、昼のほうが怖いですよ。見たくないものまで見えちゃうんで。大きな岩にびっしりと昆布がはえてると、この昆布の奥になにかいたらと思ったら怖くないですか。見えると想像しちゃう。亡霊だってライトがないと見えません」》(p.119)

《相手がヤクザだろうが、魚屋だろうが、笑顔に拳は当たらない。謝れば済む。よほどのことがない限り》(p.65)

[ 2018-11-06 ]

ヤンキーとかヤクザは重力に逆らわない。重力に素直だとも言える。車の車高は低く、すぐ地べたにウンコ座りする。ヤクザは山登りしないだろう。元猟師のヤクザも殆どいないのではないか。農業関連のヤクザは殆どいないが、漁業関連のヤクザは多い、という話もわかる気がする。漁業とヤクザの相性の良さは、この本を読んでよくわかった。ヤクザは低きに流れる。それどころか闇夜の海に潜る。潜る、というのもなんだか示唆的だ。

町や市場、低地や海にヤクザがいるとすると、築地とヤクザの相性の良さには納得。築地市場は豊洲に移転してしまったけど、築地の昭和っぽさとか懐の深さが無くなるとしたらちょっと寂しい気もする。流れ者の居場所がまたひとつ無くなってしまう。ヤクザは消え行く運命なんだろうか。

普段口にしている水産物が裏社会を通過したものだったなんて!と書きたいところだけど書けない。ここに出て来るような水産物を食べる機会はほとんどない。高いし。ウナギの話は以前にネットで読んでたしなー。密漁の手口はスリリングで読んでいておもしろかった。

読みにくかった点として、人間関係の相関や市場の仕組み、ヤクザのしきたりなど、ちょっと読んだだけではよくわからない箇所がいくつかあった。かつて栄えていた銚子のヤクザの話をこんなに詳しく書く必要あったのかな。いろんなエピソードを細切れに詰め込み過ぎな気もする。

[ 2019-01-02 ]

都市部では昔ほど見なくなったヤクザっぽいヤクザの話。どんな風に、どんなところにいるのか、そこで何をしているのかが垣間見れて面白かった。

[ 2019-02-28 ]

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[ 2019-01-08 ]

ニホンウナギのワシントン条約に基づく国際取引の規制が今年は見送られたそうだが、シラスウナギの取引は『闇』が深いな! 鰻、食べたいんだけど~

[ 2019-01-03 ]

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[ 2019-01-14 ]

アワビ、ナマコ、カニなどについて知らないことがたくさん書いてあった。著者がかなり体当たりで取材していることもわかりスリルがあった。世の中まだまだ知らないことが多いな~。

[ 2019-06-16 ]

マグロ、カニ、ウニ、ウナギ…高級魚の流通の裏にはヤクザの存在がある。それを潜入取材で明らかにしたルポルタージュ。
築地や銚子、根室など各地域に根付くヤクザや密漁者の存在。台湾産のシラスを香港通してロンダリングしたり
、真っ黒な海に潜ってウニやらナマコを密漁したり、漁師相手に賭場開いたりなどなどなエピソードがたっぷり。
どれもこれもヤクザなしでは日本の漁業は成り立っていなかったのか?と思うほど。
特に北方領土の海にソ連に拿捕されるリスクを負って漁に出ながら、ゆくゆくはソ連のスパイみたいな活動をすることになる話はすごく面白かった。
普段食べているサカナがまともな流通のものかは全く分からんなぁと思った。

[ 2019-04-06 ]

知らないことばかりで驚きの連続だった。アワビもカニも鰻も滅多に食べられないけど大好きなのに、私にとってはハレの食べ物なのに、ちょっとこれから考えてしまう。

[ 2018-12-25 ]

今年のノンフィクションの中でも出色の仕上がり。
漁業は、荒くれな職場で荒くれな人たちが働く職業。一攫千金も夢じゃないし、一方突然命を落とす人もいる。
そんな職場だからこそ、ヤクザが入ってくる。そしてヤクザ独特の流通網を作ってしまう。
これまでに全く語られてこなかったヤクザと密漁ビジネスの関係を暴く。果たして築地が豊洲に移ってこの関係はどうなっていくのか、非常に興味がある。

[ 2020-01-18 ]

面白かったです。
銚子の話は現代とは関係ない?みたいなので読み飛ばしてしまいましたが。
特に根室の話は興味深かったですね。
北海道民でないと北方領土の話はなかなか縁遠いのですが、理解が深まった気がします。
ちょいちょい出てくるお姉ちゃんとの関係が気になります。

[ 2019-03-31 ]

25年ほど前までは海水浴に行くと、岩場でサザエにアワビを獲っていた。もちろん違法ながら、漁村の人たちもボンベ背負った密猟者でなく、海パンいっちょで昼間に泳ぐ兄ちゃんにはおおらかだった。こちらとしても、養殖でない天然の海の幸をいただくのにどうして権利が発生するのか不満だった。今じゃ法は法と理解してるし、近場の浅瀬には蜷貝すらいない。ここには釜石、根室、函館、銚子など各漁港でのヤクザの横行、築地市場での密漁品の流通、香港を経由した密輸入の実態が掲げられる。とりわけ北方領土でのレポ船に特攻船、善悪抜きに勉強になりました。

[ 2018-11-27 ]

潜入ルポもあるが、戦後の銚子港のヤクザが跋扈したくだりや北方領土での決死の密漁の話など、過去を掘り起こした話が長く、築地や現代の密漁メインを期待していると肩透かしをくらうので注意。

[ 2018-12-31 ]

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[ 2018-12-31 ]

サカナの取引には漁業権をはじめとする様々な規制があり、規制のあるところには現実との乖離があり、乖離からは濡れ手に粟の機会があり、その機会をヤクザが暴力で独占する。
アワビ、ナマコ、カニ、ウニ、ウナギなどの高級とされる海産物の密漁と不正取引(ロンダリング)のレポート。
銚子と根室の話は近代史という感じで、現代の密漁現場レポートとは趣が違うが、それはそれで興味深く、サカナをシノギとすることの時間的空間的パースペクティブが広がる面白さがある。

[ 2019-11-02 ]

「戦中、博徒の美学である滅私奉公に目をつけた政府が、国家ぐるみでヤクザ演劇、映画を奨励していた」ために、賭博での負けは娘を遊女にしてでも払うという歪んだ道徳が生まれていた。

[ 2019-01-25 ]

我々日本人が大好きな鮑・鰻・蟹の大半が実は密漁⁈そんな馬鹿げた話を聞いたことないぞ…と、思う人は多い筈。この「密漁」。今やしっかりとしたビジネスへと成長しており、本書は暴力団の巨大な資金源となっている生々しい事実を暴いていく。かねてより日本の食品業界最大のタブーと言えば「牛肉」であった。ハンナンの牛肉偽装事件は記憶に新しいが、それに勝るとも劣らない、サカナとヤクザの不都合な事実を浮き彫りにする衝撃のルポルタージュ。

2013年、朝の連続ドラマ「あまちゃん」が話題を呼んでいた頃、著者は東北に密漁をしている「黒いあまちゃん」がいると聞き、バイクを飛ばす。以来5年を費やし、築地市場への潜入労働を皮切りに、魚介類の採捕現場の北海道・東北・九州、密流通が行われている台湾・香港まで、単身突撃取材を敢行。

驚愕したのは、普段口にしている海産物の内、鮑は密漁で45%、ナマコは北海道の漁獲量の50%、鰻にいたっては66%が密漁・密流通。ちなみに、鰻は絶滅危惧種に指定されているので、稚魚のシラスウナギに遡って密漁・密流通されている。そう、我々の食卓は、“裏社会の尽力”により支えられていることになり、本の惹句にある「食べてるあなたも共犯者」と揶揄されても致し方ない現実。

実際に海に潜り採捕しているのは裏社会から派遣されたダイバーであるが、密猟に手を貸す漁師、それを買う人は漁業協同組合関係者。買い手がいくらでも存在するから売り手が暗躍する。密猟は無くなるどころか蔓延り、表と裏が入り乱れ、密猟品を正規品よろしく売り捌かれるロンダリングシステムが構築されているのである。

例えば、密漁された鮑の市場への流れは、闇ルートで料理屋・寿司屋に卸されるが、所詮小口。大きな商いにするために表の卸業者の販路に乗せ、市場にも流されていく。これはつい最近まで築地でも行われていたと言う。

この築地市場に、著者は4ヶ月の潜入取材を行い、実感したのは「魚河岸がはみ出し者の受け皿」になっており、“流れ者”でもやる気さえあれば受け入れる、極めて昭和的世界であるということ。確かに市場とヤクザは古くより切っても切れない関係にあり、漁業関連業者の生活圏にはヤクザがひしめき、千葉の銚子では町そのものが暴力団に牛耳られ、毎晩賭場が開帳されていた事例も紹介されている。

そして著者は、密漁より悪質な密流通の主役「鰻」を追って香港の国際密輸シンジケートへと向かう…。

絶滅危惧種の鰻を、ある意味では絶滅危惧種であるヤクザが追いかける。暴対法による徹底排除が進み、ヤクザの困窮ぶりは巷間伝わるだけに、このふたつの共生の構図に思わず笑ってしまった。

アングラノンフィクションの面白さは、魑魅魍魎かつ無秩序の社会の出来事と眺めていることが、実は表社会と密接に繋がっている構造を知らされた時である。

本書は、我々の知らない「すぐそばにある裏社会」の実態を遺漏なく伝えてくれる。飽食の時代と言われて久しいが、尽きない食への欲求が、例えば土用の丑には鰻を食べる食文化が、ヤクザのシノギに大いに寄与していると思うと消化不良を起こしそうであるが、ヤクザと組織犯罪を専門に扱うフリーライターならではの圧倒する取材力と活写力には、さながらはち切れるんばかりの満腹感でもある。

[ 2019-01-05 ]

今、我々の食べている魚介類の半分近くは密漁品で、高級食材になればなるほどその可能性は高まる、と聞くと正月に食べたアレやコレが思い浮かんできます。そして、この密漁ビジネスの多くはヤクザのシノギになっており、任侠道と漁業の共通性が最前線への潜入ルポによって浮かび上がってきます。

個人的にも、銚子や根室など訪問したことのある漁業の街が登場して、現在の疲弊ぶりを垣間見る機会があったのですが、ブラックマーケットに依存する割合の大きな地域経済は立て直すのは容易ではないと感じます。そして、築地市場という清濁併せ飲んだ場所も豊洲に移転して浄化されようとしています。

漁業とヤクザの境界が曖昧だった時代から、漁業権や地方政治、北方領土問題といった政官との結び付き、技術や流通革新を経てしぶとく生き残ってきた密漁ビジネス。これまでの短期収益を追い求める余りに肝心の漁業資源自体が枯渇しようとしている現在は、過渡期に来ているということでしょう。

[ 2019-02-12 ]

香港でもよく乾物屋で見かける三陸のアワビだが、実は密漁がはびこっているという幕開けから「何やってんだ漁師の皆さん!ヤクザ屋さんたちズルすぎる!」と怒りまくっていたが、読み進めていくうちにその闇に戦慄…する以前に、事実を知るほど何もかもがもう情けなくて本当にガッカリした。ウナギとかクロマグロとかは気軽に食べられなくていい。鯨も好きだけど、わざわざ商業捕鯨を再開させなくていい。つまりところ、食に関してもあまりにもガラパゴスなものだから、舐められてるんだ。
全くねー、どうなるんだよ後退国ニッポンよ。

[ 2019-05-22 ]

漁業と闇社会の癒着。
つか、汗かかずに儲かると思うとどこでもこんな風になるんや。
北海道から九州台湾まで。
ソ連も絡んだ北方領土の話もある。
法治国家やんな、日本は。ほんまのとこ、どこぞの国と殆ど変わらんわけや。

相変わらず著者の体当たりなルポには頭がさがるが、文章が読み辛くて叶わん。

[ 2019-01-30 ]

暴力団と漁業の関係について、暴力団専門とも言える記者が書き起こしたルポルタージュ。
漁業と密漁、そしてヤクザの密接なかかわりについてわかりやすく、迫力をもって書き表している。現代日本人が日常、口に運ぶもので、これほどブラックなものがあるだろうか?
との指摘もある。何気なく口にしているカニ、サケなど、出所は確かなのかどうか。

また、著者本人が築地市場で働いてみた体験記などもある。
市場での労働を経て、正規就労のハードルがあまりにも高くなっているのでは?という指摘は、本書の本筋からは外れるが考えさせられるところだった。

[ 2019-03-31 ]

海に鍵がかけられるわけでもなく、ルール外を取り締まることの困難も見えてきました。漁に出たからには目の前にあるものみんなとってしまうのは、買ってくれる人、安く豊富に提供されれば喜ぶ人がいるわけで、知らないうちに喜ぶ側になっているときがあり、ルール内の漁師を苦しめているのかと複雑な思いがしました。

[ 2019-11-07 ]

漁業と暴力団とのつながりを場所、魚種の観点から描いた本書。

暴対法施行以来いわゆるみかじめ料などの従来のシノギで稼げなくなった暴力団が様々な業態に手を伸ばしているとは聞いていたものの、有名なウナギの他にナマコ、マグロなど、希少かつ高級魚種にこれほどまで食い込んでいるのかと驚嘆を禁じ得なかった。シノギのほとんどは密猟だが、実際に夜の闇に隠れてシラスウナギ、ナマコやアワビの密猟に従事している末端の人間にまで取材していた。
資源管理の観点から警察など規制側も対策を講じているものの、食べたい消費者と量を確保したい企業がいる限り金になる密猟はなくならないだろうと感じた。
しかし台湾からのシラスウナギを規制して経由地である香港からの輸入を規制しないとは、そもそも漁業がほとんどない香港でシラスウナギが取れないだろうと考えればわかるだろうに理由があるのだろうか。

[ 2018-11-25 ]

> 鈴木智彦著『サカナとヤクザ』補稿
> http://yatasuzuki.hatenadiary.jp/

[ 2019-04-21 ]

著者が前に出てくるのか少し鼻につくが、このような取材を実現させた力量はすごい。漁業の世界にはこんな裏側があるんだ、と驚く。特に北方領土とカニの関係を扱った章が印象に残った。根室のあの寂しげな雰囲気と一見マッチしないようだが、実はしっくりくる。

[ 2019-03-03 ]

農家さん漁師さん酪農家さんありがとう的ピースフルマインドを是としながら食事を楽しむ私のような人間に強烈なカウンターパンチを浴びせる読者直結型ルポルタージュ。

「中国産て書いてあるこのサカナ、どこで獲れたのかな」

目次はやや扇情的に過ぎ、著者鈴木智彦さんが長く暴力団ルポに携わってきたことから単純に「暴力団=悪」という構図には書かない(美化はせず、脱法行為をする〝社会の必要悪〟といった捉え方)点にはやや留意が必要だが、海洋国日本の全域に蔓延るといっても過言ではない社会問題にスポットを当てた快作である。

とはいえ、サカナを食べるとヤクザが儲かる、という話に短略化してはならない。サカナを獲って売って暮らす人びと、港町で生きる人びと、サカナを食する私たち全員が本書に登場する不公正なシステムから何がしかの恩恵を享け、甘んじている。法整備や流通の改善、消費者も含めた意識改革は必要となろうが、金の成る木や法の抜け穴には〝破れ窓理論〟のようにズル賢い者たちが湧いてくる。

Fresh Speed社が始める「釣った魚をオークション売買」するFish Saleなど、いかにも密漁や越境売買が容易に想像できるサービスに思えるではないか。


[ 2019-03-09 ]

ここまで密漁前提の市場ってのもないね。もうかるから密漁するのであって、儲からないように規制をかけると、市場の値段が急騰すると。
規制と抜け道のイタチごっこ。
アワビもカニもマグロもウナギも、ヤクザや密漁者に金が流れると思うと食べるのを躊躇してしまう。しかし、食べるために失われた魚介類の命は戻らないので、食べてあげないと命が無駄になってしまう、という葛藤…
ちゃんとしたウナギだけ食べねば、と思いながら、見分けるすべがない。

しかし、前半のアワビと後半のウナギはエキサイティングだったけど、中盤のカニは昔のヤクザや歴史の話ばっかりだったので、かなり中だるみしたね。

[ 2019-02-23 ]

水産資源の保護とか規制なんて絶対できないな、こりゃ。まあ何でも安い値段で欲しがる消費者も同罪だけど。

[ 2019-03-03 ]

銚子高寅組 共産党 jazz musican菊地成孔の実家 ここで食堂

根室 ソ連からの御朱印は、各種のレポ(報告)の見返りとして与えられた ロスケ船頭 レポ船 ベトナム戦争からの脱走兵をレポ船にのせて亡命させた

中島義道 人間の偉大さは悪に塗れていても善を希求するところ 

[ 2019-12-16 ]

三陸アワビ、築地、ナマコ、銚子、カニ、ソ連、九州台湾香港ウナギ。至るところに見え隠れするYAKUZA。関係ないと思ってたけど観光地の安くてうまい寿司や食卓に上がったアレとか、本当にクリーンなオサカナですか?と心配になる。
最後に書いてあって印象的だったのは、オリンピックで出す食材のトレーサビリティは国際規格に則ったものにしたいんだけど日本の漁業はグレーすぎて日本独自規格を作らざるを得なかったという指摘。ヤバ面白かった。