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慈雨

(181)
価格:700(税抜)

作品レビュー

[ 2019-05-10 ]

柚月裕子『慈雨』集英社文庫。

文庫化されたので再読。文庫化で楽しみなのは解説であるが、本作の解説は元さわや書店の松本大介さん。松本さんは夏目漱石の『夢十夜』を引き合いに出し、面白い視点で本作の構成に隠された秘密を見事に解説してくれている。

重たくも、何とも凄い警察小説だ。新しい形の警察推理小説と言っても良いだろう。

過去の事件への贖罪の念に苛まれる元刑事を中心とした人間ドラマと共に現在進行形で進展する事件のどちら共に目が離せない展開の面白さ。晴れやかな気持ちになる感動のラスト。読み返しても非常に満足のいく作品であった。

定年退職した刑事・神場智則は妻と共に42年の警察官人生を振り返る遍路旅の途中、16年前の事件と酷似した幼児殺害事件の発生が発生する。16年前の事件が冤罪であることで贖罪の念に苛まれる神場は旅先から非公式に警察の捜査に協力することに…

清水潔の『犯人はそこにいる』に描かれた北関東連続幼女誘拐殺人事件に酷似した事件が、この小説の根幹を成しており、16年前の事件に苦しめられながらも、未だに事件解決に執念を燃やす男たちの姿が素晴らしい筆致で描かれている。

本体価格760円
★★★★★

[ 2019-06-24 ]

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[ 2019-07-03 ]

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[ 2019-07-30 ]

犯人のバックグラウンドはもうちょい掘り下げて欲しかったなぁー
最後の雨は涙だろうか。それとも通り雨?

[ 2019-08-15 ]

事件解決への、刑事の情熱が半端ない。元刑事であっても。

四国巡礼と共に捜査が進み、時間の経過がリアルに感じられました。

この一冊に、いろんなものが詰まってます。

[ 2019-06-01 ]

警察官を定年退職し、妻と共に四国遍路の旅に出た神場。旅先で知った少女誘拐事件は、16年前に自らが捜査にあたった事件に酷似していた。手掛かりのない捜査状況に悩む後輩に協力しながら、神場の胸には過去の事件への悔恨があった。場所を隔て、時を経て、世代をまたぎ、織り成される物語。事件の真相、そして明らかになる事実とは。安易なジャンル分けを許さない、芳醇たる味わいのミステリー。

近年話題になったノンフィクションに重なるのは、おそらく意図的なのだろう。しみじみしながら読了、

[ 2019-07-28 ]

中古本屋で欲しかった本、とりわけ新刊に近いものを見つけると、やっと会えたねという感じで、とても嬉しい。

警察を定年退職し、妻と二人で四国へお遍路に出た、元刑事の神場。
定年で一区切りつけた中、色々な気持ちを込めた遍路の旅路で、これまでの仕事のことや家族の中での出来事が思い起こされる。
家庭も顧みずに仕事一筋で生きてきた神場と、それでも長年連れ添ってきた妻・香代子の、夫婦の物語として、同じような世代の者には、これがなかなか沁みてくる。
が、旅先で幼児殺害事件のニュースを聞いたところから、過去に自分が担当した同じような事件で残した悔いが蘇る。
その、今でも残る古傷の中身が、進行中の捜査とシンクロしながら徐々に明らかになる筋立ては、ミステリーとしても結構面白い。

と書きながら、神場があれどの男でありながら、過去の悔いを引きずって、ひとり、ああだこうだと思い悩むのが、なんだかしっくりこないところもあったのだなぁ。
刑事の妻であることを誇りに思っていると言ってくれている妻に対して正直な心情を吐露することが出来ないのは、背負っているものの大きさ故ではあるが、ああまで妻や娘に対して頑なでなくても良いのにね。
奥さんが本当に素晴らしい人であるだけに、仕事しか出来ない男の昔気質の心情がいささかじれったかった。
まあ、私も結婚30年以上経っても、嫁さんの言葉に、そういうことを考えていたんだとか、何を考えているんだとか、私の言葉をそういう風に受け取っていたのかとか、いまだに複雑な心境になる場面も多いけどさ…。

[ 2019-07-31 ]

柚月さんの本は、いつも直ぐにリアルな世界観に入り込ませてくれる。故にこれは重苦しく、事件の真相を追いながら常に容赦なく理想と現実のギャップや正義とは何かを考えさせられた。
主人公神馬と妻の四国巡礼の旅を土台に、過去の事件に囚われた刑事たちの泥臭い程に熱い情熱と信念が、旅の進行と共に新たな事件捜査の形で少しずづつ生々しく描かれていて、それぞれに感情移入しながら読んだ。
事件解決と同じくして終わる旅の最後に夫婦に優しく降り注ぐ慈しみの雨が、全ての許しのような描写で涙が溢れた。

[ 2019-08-15 ]

本屋で紹介されていたので購入。
「慈雨」とは、簡略すると、恵みの雨だそうで、その意味も相まって、読後感は清々しい気持ちにさせてくれました。物語の構成としては、主に二つの物語が同時進行しています。
一つは退職した元刑事が奥さんと四国巡礼をしながら、これまでのことを振り返っています。もう一つは、ある事件を発端に警察がこれからのことを操作しています。途中途中に二つの物語がリンクしながら、一連の事件の解決に向けて奔走しています。
地味ではありませんが、それでいて大きな盛り上がりがあるというわけではなく、しっとりと重厚な物語になっています。物語が終わるに連れて、段々と洗い流してくれるような展開で、面白かったです。
事件のトリックは、どこかのサスペンスドラマで見たような真相ですが、その手がかりがわかった瞬間から、読み手側も読むスピードが加速していき、ページもめくるのが止まりませんでした。
様々な人間模様が垣間見れて、ミステリーだけでなく、ヒューマンドラマとしても楽しめた作品でした。

[ 2019-05-10 ]

警察官を定年退職し妻とお遍路に出た神場。お遍路する理由とこれまでの警察官人生を振り返り、過去の事件とつながる事件が。警察小説でありながらひとりの生き方、後悔、取り返しのつかないものについて救いはあるのかという問いがある。お遍路の道を歩き、体は前へ前へと進むけれど心は過去へと戻る。現在の事件に協力しつつ、どうしても消せない過去のこと、家族や同僚への想い。道筋が見えない捜査と全てを失っても解決したいという決意に揺さぶられる。終盤の展開からラストまでは神場や刑事たちと同様に興奮する。柚月さんをもっと読みたくなった。

[ 2019-08-11 ]

悔恨と再生を本部全体で表現したら、こうなるんだな。という作品。
物語の前半部分で主人公の心情とリンクするようにずっと梅雨空のスッキリしない天気、同時に進行していく事件も絡まって重々しい。
それが少しずつ全ての事に晴れ間が見えてきて最後には天気雨となり、過ちや心に溜まった全てのものを洗い流してくれるところの展開の仕方はとても上手だし流石、プロの物書きといった感想を持った。ただ、物語が動くまでに過去の追憶の長い部分があるのでそこが少し長くて個人的に、ダレてしまった。

[ 2019-06-16 ]

読みやすいのでズンズン読み進み
グングン引き込まれる

四国お遍路の出発とともに起こった事件
思い出される悔恨
出会った人たちの苦労と優しさ
それぞれの苦悩
警察組織を守るか
正義を貫くか

寺を巡るうちに心は過去の事件や
娘や妻への想いをさまよい
お遍路の終わりとともに
事件も終結する

このお話はフィクションだけれど
お遍路さんへの地元の人たちの気遣いや
道中の苦労は本物だと思うし
実際、観光ではなく
作中の人物のように
様々な事情を抱えて巡っている人もいるのだと思った

[ 2019-08-15 ]

ミステリーというよりも人間ドラマ。急展開が少ない分、もっと泣かせにきてくれてもよかった。そのうちお遍路に行ってみたい。

[ 2019-06-30 ]

派手さはないものの、凄い刑事小説。
正しく優しく降る雨のような印象。

退職した刑事が、16年前に起きた幼女殺害事件にわだかまりを感じ、忘れられずにいる。
退職後すぐに夫婦でお遍路八十八ヶ所巡りを行いに四国へ。
その最中に16年前の事件と似ている殺害事件が起き、
元同僚と連絡を取り合う。

さすが柚月作品。
面白くない訳がない。
作品紹介を読んだ時点では何だか地味そうだなぁ、と思ったのだけれど、その思いを覆してもらいました。
一気読み作品。

[ 2019-06-12 ]

読後も心に残る小説は、読み始めから読者の心を捉えて離さないところが絶対的な特徴と、改めて確信しました。

この物語も冒頭夢のシーンから始まり、他人のそれも話の中の架空なのに鮮明で読後もそれが頭にずっと残ったままです。
そのくらい、神場も悔恨を背負い続けて来たのだろうなと感じ取ることができる物語の構成力がすごいです。

警察ものが好物なので手に取った初読み作家さん。あれ?退職して夫婦でお遍路さんしてる…と思いながら読み進むと、その旅にも深い意味があり、過去の事件と退職後に起きた事件が結びついて警察組織に及ぶような問題が潜んでいることまで話が大きく展開していて引き込まれました。
サスペンスとして興味深く、また夫婦や家族の絆の物語でもあり、読んでいてぐっとくるものがありました。
四国巡礼の夫婦旅の様子が子細に描かれていて、一緒に旅しているような感覚に。
痛みがありつつも味わい深い警察ものでした。

[ 2019-06-15 ]

読み終わって、良い意味で「無」。
後味悪く無いし、嫌な感じないし。
最後まで読んで、私はホッとした感じ。
モヤモヤ考えてたりすることもないなぁ。

内容は少し重いので、読み始め足取り重く…というスタートでしたが、文章自体は読みやすくスッと世界に引き込まれていき、後半は微加速して読めました。

2019/06/15読了

[ 2019-07-26 ]

[このレビューにはネタバレが含まれます]

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[ 2019-05-03 ]

ミステリーとしては単調なもののヒューマンドラマとしてはかなり良かった。
刑事の苦悩が自分にも重なる部分があり心にきた。

[ 2019-05-24 ]

10連休中札幌どこも品切れだった柚月裕子さん「慈雨」紀伊国屋書店で購入したのにその後放置なんとか読了。1990年栃木県警DNA鑑定で再審無実になった足利事件がモチーフ。退職刑事夫婦がお遍路に、地元群馬では16年前と似た幼女殺人事件が発生し同一犯か?一気に読めました。

[ 2019-07-17 ]

お遍路さんの間に他で出来事が発生して廻りながらも関わっていくような話は前にもあったような。この道中と事件と人生が絡み繋がって主人公が最後に一歩踏み出すんでしょう、という想像からハミ出すモノではなかったよ。そういう意味では苦悩の原因も犯人確保までの経緯も娘の出自も驚きはありませんでした。だからこそ王道な感じで安心して没頭できましたが。
ただ、寡黙で不器用な主人公が、自分からは最低限のコミュニケーションしか取らないくせに周りがみな理解してくれて斟酌してくれて意図を汲み取ってくれる図々しさと都合の良さというファンタジー設定があの世代の現実感を鈍らせてワガママだけを増長させているようで、大キライなのでした。結局悩みはそれですべて解決しちゃったし。黙ってオレに着いてこい、見て分かれ、忖度しまくれ、な高倉健(の演じる役)を代表とするようなキャラクターとその脇役でしょうか。ああいう渡世人気質みたいのを理想化されては周りはたまらない。っていうかそういうのみんなホント好きなんだね。オラ、ほんとに大っ嫌いだそういうの。
同年代の作者だけれど、古臭いキャラだなぁと思ったのです。

[ 2019-06-15 ]

軽快な場面展開で一気に読み進めたが、一番知りたい事が最後まで分からず(笑)話のオチは想定外だったよ。まぁ、悪くはないがね(苦笑)

帯にはミステリーとあったが、違うね〜。様々な人間関係を描くヒューマンドラマ。

[ 2019-08-25 ]

亡くなった先輩刑事の娘を養子として育てる神場元刑事が主人公。
退職した神場は妻と一緒に四国八十八か所お遍路の旅に出かける。
彼はそれを、在職中のどうにも納得のいかない解決事件の犯人と被害者に対する巡礼の旅と位置付けている。
その旅の中で新たな事件が発生する。
退職刑事に捜査する権限はないが、彼は元の部下や上司と連携?して、犯人逮捕に向けて走る。
巡礼の旅が結願する時にドンピシャのタイミングで犯人が逮捕される。
話が上手く行き過ぎだがこれが小説!

[ 2019-05-03 ]

「平成最後の」って皆うるさいねんと思いつつも念入りに選んで1冊読んだ後は、「令和最初の」ってまた皆うるさいねんと思いながら店頭でこれを手に取る。

実際に昭和と平成の世を騒がせた事件の話がちらりと出てきたり、DNA鑑定の不確かさを問うたり、『殺人犯はそこにいる』と併せて読みたい。

『孤狼の血』の男臭さに心が躍った者としては、妻や娘の描き方があまりに女性そのもので少々退屈にすら感じてしまいましたが、犯人が明らかになる終盤100頁は白熱。「清濁併せ呑む覚悟で刑事を続ける」という言葉に目が潤む。諦めなければ報われる。

[ 2019-06-07 ]

柚月裕子の小説を初めて読みました。
定年退職した刑事が関わった16年前の少女誘拐強姦殺人事件の犯人冤罪疑惑に苦しみながら、四国お遍路の旅中に起こった極似の少女誘拐強姦殺人事件。引退した身でありながら元部下の刑事に電話で自分の推理を教授して犯人逮捕に協力するのだが、それは同時に16年前の事件が冤罪であることを教唆することにもなる可能性があった。
主人公の定年退職した刑事神場智則60歳とお遍路に同行している妻香代子58歳の夫婦の絆に感動し、神場の指示を受ける元部下の刑事緒方圭祐32歳の捜査能力と正義感に感服する。
緒方は神場夫婦の娘の恋人でもあるため、神場の関わった事件が冤罪であることの可能性に苦渋しながらも腹をくくる。緒方の上司の県警の捜査1課長の鷲尾訓58歳は神場の2歳年下ではあるが神場の現役所轄時代の上司でもあり16年前の事件に神場と同じく冤罪疑惑に苦しんでいた。神場の推理に鷲尾も同調し、緒方に独自の捜査を命じる。3人が各々の責任と信念に基づき行動し、捜査陣を犯人逮捕に導く。
緊迫した捜査状況、進行状況に緊張し興奮している自分がいる。そして幼少時代の苦難を乗り越えて警察官になった神場の生い立ち、夫婦で地方の駐在勤務から所轄、県警と2人3脚で克服してきた夫婦の歴史、一人娘幸知の秘密、数々の物語が加わり感動の結末を迎える…。
柚月裕子の他の小説も読んで見たくなった。柚月裕子の小説、好きになりそうです。

[ 2019-07-27 ]

16年前の幼女誘拐惨殺事件をずっと引きずって刑事を退職した神場、その間彼に笑顔は無かったのでしょうね。誠実な彼の生き方に随所で泣かされます。
奥さんが素敵ですね。刑事の妻です。

[ 2019-05-01 ]

 冒頭の悪夢のシーンは、伊藤計劃「虐殺器官」を思い出させる。後に続くストーリーは全く違うが、一気に小説世界へ引きずり込まれるところは同じだ。
 主人公は刑事を退職後、四国お遍路に回っているので、現場から離れており、活劇はないが、なぜか引き込まれる。ミステリーとしては弱いと思うが、その小説世界は濃密だ。すっかり涙もろくなっている読み手の私は、出張中のサンダーバード号車内で2度ほど泣いてしまった。面白い小説を、長距離出張の車内という集中できる環境で読み込めた事に感謝!

[ 2019-09-01 ]

いろんな意味で とてつもなくツライ話ばかりが続く。
それがまた現実味があるから尚こわい。
特に冤罪の疑いがありながら 再捜査されず 長い懲役生活を強いられるくだり。ただ全くの無実ではなく 他にも罪があり
しかし懲役20年を課された罪は冤罪ってところがビミョーだもん。
また結婚してすぐの赴任地で出会った義父殺し。
なんとも言えない後味の悪さ。
全編通して暗い空を思わせる内容のなかで 香代子と幸知の明るさに救われる。

解説がまたすごいね。
特に最期の ある時を境に から始まる部分。
本文の内容と相まって しみじみと人生に思いをはせる気になります。

[ 2019-05-18 ]

この方の描かれる男たちが好きだ。なんせカッコいい!

仕事は非常に有能な反面、根っこの考え方が全く合理的でなく。 ともすると自らの拘りや美学によって生き方に不自由さを余儀なくされてしまう。 しかも自身はその不自由さを自覚しながらも更にそれを良しとする『潔さ』を持っている。
俗な言い方だけど『昭和』なのだ!

ただ、好々爺も結構だが、昨今かくしゃくとした大人など久しくお目にかかっていない。

カッコいい大人達は何処へ行った?
見本となる者がいなければ、後進達は何処へ向かえばいい?

新たな元号を迎えたこの折、よわいを重ねた方々にこそ読んで欲しい、読むべき本だと思った。

あなたのことですよ。

[ 2019-08-19 ]

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[ 2019-06-14 ]

警察を定年退職した 神場。
自分の中にある後悔。その贖罪のために、巡礼に出る。
神場の妻は、一緒に巡礼をしたいという。
体力的に可能なのか?心配するが、妻は健気にも付き合う。
なぜ、夫が巡礼したいのか?を聞くこともせず、
その二人の道中の会話が、わずかであるが二人の性格を
浮き彫りにしていく。実に、明るく楽天的な妻に、
助けられて来た神場。そして、この巡礼の中でも、
妻の好奇心旺盛な行動が、神場を支える。

神場は、悪夢にうなされていた。
16年前の少女殺人事件の被害者純子ちゃんの
「オウチニカエリタイ」という夢を見る。
その事件は、冤罪であったかもしれない。
神場は、再捜査を訴えたが、上層部から却下された。
その時逃げたという後悔がある。

巡礼が始まった時に、同じような手口の事件が起こった。
年下の上司鷲尾も同じような後悔があった。
部下の緒方は、神場の娘と付き合っていた。
神場は、それを賛成していなかった。
目撃も少なく、捜査は、困難を極めた。

そして、16年後ということから、犯人のプロフィール、
白いトラックをどう痕跡をなくしたのか?
ということを、定年退職した神場が、仮説を立てる。
それは、16年前の少女殺人事件に関連していた。
刑事を辞めても、刑事であることをやめない。
それは、警察組織を守るよりも、同じような犯罪が
起こらないことが想いとなる。
鷲尾、緒方にも神場の想いが伝わる。

ふーむ。実に重いテーマで、自分の立場を
根底から覆されようとも、何のためにかを追求する。
神場の妻 香代子が、実に素晴らしい。

[ 2019-06-07 ]

警察ものと言っても、「捜査をして、犯人を捕まえる」だけではなく、人生を描いた、ずっしりと重みのある一作だった。
群馬県警を定年退職したばかりの元刑事が、妻と念願の四国八十八か所の遍路をしながら過去と向き合っていく姿が、現在進行形の幼女暴行殺人事件と絡めながら描かれる。
お遍路で偶々出会っただけの人達も含め、多くの登場人物たちの人生が、とにかくやりきれない。真面目に一生懸命に生きているだけなのに、苦難ばかりの人生を歩んできた人達。幼くして大変な恐怖の末に人生を奪われてしまった女の子たち、その遺族。そして、正義・倫理観と生活・家族の間で悩み苦しむ警察官たち。
「泣ける」という感想を書かれている方が多いようだが、私は全く泣けなかった。ただ、心にずしんと錘のように何かが残った。

[ 2019-05-27 ]

退職した刑事とその妻による四国八十八ケ所巡り、即ち、お遍路さんの進行に連れて、その直前に発生した事件の捜査が進む。その事件は彼が関わった過去の事件の冤罪の疑いを呼び起す。これ以上はネタバレとなるので省くが、登場人物の心理描写が的確で、捜査進展のまだるっこさを補うに十分だ。お遍路さん経験者には途中描写により懐旧の念を呼び起こされるかも知れない。

[ 2019-05-01 ]

『孤狼の血』以来の柚月作品。本作が『本の雑誌』ベスト1に輝いたときから、文庫化を待ち焦がれていた(単行本を買えよ、って話だけど)。という訳もあって、最優先で読み始めた次第。熱い警官の物語っていう意味では、件の作品と同系統といえるけど、リタイア後の視点を交えることによって、外部からの視点も加わり、幅が持たされている。と言いながら、だけど、『孤狼~』において、主人公も凌ぐインパクトを誇った殉職刑事ほどのキャラがいなくて、個人的には同作に軍配。本作ももちろん、面白かったけど。

[ 2019-08-28 ]

とても暗くてもの悲しい感じだけど、惹きつけられてどんどん読み進んでいきました。

この先、みんなが救われて穏やかな生活をおくって欲しい。

[ 2019-06-14 ]

自分で店頭買いした本。
定年退職した元刑事が妻と共にお遍路を廻りながら、過去と現在の事件に再度取り組んでいく。
この元刑事の神場がとても実直で不器用な夫であり父でありでとても好ましい主人公になっている。
彼の抱える苦悩や悔いがあまりにも辛い。すぐに動いた彼は非難されるべきではないと思うのに、自分自身が許せないのだろう。
そんな彼を支える妻の香代子がつらい過去など感じさせない強くて朗らかで魅力的な女性だった。
元の部下や同僚たちの事件捜査と、神場たちのお遍路のなかで、娘の幸知のことや過去の神場の駐在所時代や刑事部配属などを振り返る様子が交互に展開される。
事件も過去も重い話が多いのに、お寺の話などが挟まることで少しほっとするような感覚もあった。
ワクワクというのとはまた違うけど、先を読みたくてたまらない、とても重厚な小説だったと思う。

[ 2019-08-04 ]

元警官が、お遍路の旅の途中で、ある少女行方不明事件を知る。元部下と調査の経過を追っていくうち、16年前の少女殺人事件の犯人が冤罪の可能性が高いことが判明するが、司法機関の信頼が失墜するため、再捜査の可能性は薄い…。

冤罪、家族愛、上司・部下愛。少女殺人という事件の題材のお重さはやり切れないし、犯人に対する怒りは収まらないが、いろんな人間模様も組み込まれ、スッキリとは行かないものの、心がジンとする終末に救われた。

[ 2019-07-08 ]

幼女が誘拐され、殺される事件を担当し、すでに退官された刑事が主人公の話。
刑事ものが好きで、いろんな本を読んでいるが、退官後の刑事が主人公というのは珍しいなと思って読んだ。

なんとも苦しい事件。
事件自体はつらかったけど、それに向き合い、立ち向かう刑事3名の執着ともいうほどの犯人を探す姿には心うたれた。
最後までドキドキしながら読めた。
決着という部分は書かれていなかったけど、読んだ勢いのまま、3名の刑事の思いのまま、事件が解決してくれることを余韻に浸りながら、願った。

[ 2019-08-21 ]

著者の作品は初めてだが、いろいろな登場人物が人生を回顧するシーンが印象に残る。定年退職した元刑事が、夫婦で四国遍路の巡礼を続ける中で、現在と過去の事件に関わるストーリー。自分の人生を棚卸していく様は、羨ましくもある。

[ 2019-06-22 ]

2019/6/21読了。
星4つと3つで迷った。
先が気になって、時間が許す限り手に取るほど引き込まれたし、
熱い思いを持った主人公たちには感動したもしたけれど、
四国お遍路の旅と重ね合わされたストーリーがまどろっこしく思えたところもあり。
その点こそがこの本の持ち味なのだろうけれど。
犯人を追い詰める推理小説というよりは、帯に「人間ドラマ」とあるように、人間の心に焦点を当てた、かなり重い話。
じっとり、ねっとりした「雨」のような読後感が私に残った。そこが少し残念。

[ 2019-08-07 ]

最後の寺を目指す神場と妻・香代子の2人に、慈しみの雨が降る。印象深いラストシーンに涙が出ました。
柚月 裕子さんの作品ですが、一気読み必至の作品です。

警察官を定年退職した神場は、妻の香代子と共に四国遍路の旅に出た。
旅先で出会う人々の優しさ、叶わぬ想いや様々な悲しみに触れる。

実は、彼は、16年前、自ら捜査にあたった幼女誘拐殺人事件が、実は冤罪ではなかったのかと思い悩んでいた。
(彼の見る悪夢から、本作品は始まります)

果たして、16年前の事件と酷似した事件が発生する。犯人は、同一犯なのか?

時を経て、場所を隔て、織りなす物語の数々。
関係者の思惑を胸に、部下の緒方が辿り着いた真実とは?

タイトルの『慈雨』というネーミングが、素晴らしいと思います。

[ 2019-06-02 ]

珍しく母に進められて。罪に目をそらさず真実を求めた刑事たちの後悔と葛藤。事件の終幕には、それでもどこか清々しさはあったのではないだろうか。終わった後にジーンと余韻が残る。また事件だけでなく、お遍路さんの物語もサイドストーリーとして楽しめた。

[ 2019-07-08 ]

何か「じわりと染み込む」とか「雨に湿り始めた箇所が少しずつ拡がる」という按配な、徐々に引き込まれるように頁を繰った一冊だった…
本作は、事件の謎を解く推理モノ的な要素を抱き込みながら、「節目に至った…」と自身の歩みを振り返って、残りの人生に何とか踏み出して行こうと決意を新たにする男(=主人公の神場)の物語であると思う。
自身では、本作の神場のように引掛りや悔恨を抱えるようなことは経験していないと思うのだが…「自身の歩みを振り返って、残りの人生に何とか踏み出して…」というような雰囲気に、別段にこの神場のような節目を迎えているのでも何でもない状況ながら、妙に共感してしまう一面が在った…
非常に味わい深い感の作品…御薦め!!

[ 2019-06-24 ]

引退をした元警察官が妻と一緒に妻とお遍路の旅に出ている途中で
少女誘拐事件の発生を知り真実を追うミステリー。

様々な警察官の作品やミステリーの作品を読んできましたが、
引退をした警察官がお遍路をするという設定というのは
記憶には無かったのでまずは珍しいと思いました。

少女誘拐事件は足利誘拐事件を元にしているようなので、
所々に似たような事件の背景がありましたが、
だからこそリアリティがあって生々しいさがあり
元警察官がいつまでも心の隅にひっかかっていた
辛い思いがよく伝わりました。
本来ならばこんな事件の捜査はあってはならないと思うところですが、
引退してお遍路したことによって成し得たことだと思うので
結果的には良かったのかとも思えます。

お遍路を妻と共にしている時には
妻の可愛らしさ、心の良さが伺えて
さすが警察官の妻と言われる人物像が分かります。
けれどその心の奥底では辛くて悲しい思いを抱えながらも
健気に夫を支えている姿が伺えて何とも言えない気持ちになりました。
だからこそこのお遍路ではいい旅になって欲しいと
心の底から思えました。

元警察官の夫にとっても人生の岐路と言える旅路でも
あったと思えますが、妻というか夫婦という形にとっても
このお遍路が今までの人生と今後の人生をなぞっているようにも思えて
特別な意味のあるお遍路だと思いました。

お遍路を題材にした作品も何冊か読んだことが
ありますが、この作品では割と細かく道中のお寺の事なども
書かれていたのでお遍路についても興味が持てました。

それぞれの警察官が全力でその仕事に取り組んでいると思いますが、
その中で刑事ならではの言葉がとても印象的でした。
罪を犯すは生きている人間だ。
被害を受けるのも生きている人間だ。
事件ってのは生きているんだ。
事件という名の、生きた獣と闘っているつもりでいる。
生きているもの同士だから絶対に事件の真相を
解けないこともなく、不可解なこともないはずですが、
実際には人間がすることだからこそ行き違いがあったりして
困難になったりしてしまうのだと思ってしまいます。

お遍路をしながら警察官としての人生、私生活での人生を重ね合せ、
それと共に現在遂行されている事件と併行されてストーリーが
進んでいくので読んでいて面白かったです。
警察官としての人間関係の難しさも端々に表れて
その関係性も独特で興味深かったです。
ミステリー性も十分にあると思いますが、
どちらかというと家族、特に妻との関係性が強く描かれているので
ヒューマン性があるので自分の人生と重ね合わせて読んでみるのも良いかとも思いました。

[ 2019-06-04 ]

読み終わってもすっきり爽快、と言う感じにはならない作品。人を殺すという事を誰がどう裁くのか、どう許すのかという事をぼんやり考えさせられました。

主人公は非常に正義感が強くて、こういうお巡りさんが居たらなぁという人物。でもあまり家庭的ではないのでよく奥さんがあれだけ慕ってるなぁというのはちょっと謎。夫婦は難しい。

とは言え彼が全財産を被害者に渡して償うのはなんか違う気がする。個人の罪じゃないし、これは組織の罪だよねぇ?彼が情報を隠蔽したわけでも無いしなぁ~

というわけで、ん?と思う所はありましたが続きが気になってドーッと読み終えてしまいました。

[ 2019-06-09 ]

お遍路を通して、物語が過去現在未来と
入り乱れて繋がって行くのが面白かったです。

主要人物が善人すぎるなと
思うところもありましたが、
想いと繋がりの大切さに触れた
一冊だったなと思いました。

八十八か所巡り、凄いしたくなった。

「孤狼の血」で、他作品、
食わず嫌いしなくてよかったです。

[ 2019-06-09 ]

中盤すごいよくて、泣いたし、設定もよかったんだけど、結末が生き急いでる感あった。もうちょっと読みたかった。

[ 2019-07-03 ]

重い・・・重いよ・・・
ずっしりとした内容。
冤罪を見逃したかもしれない後悔を抱きながら生きる、これは地獄だろうなぁ。

[ 2019-06-09 ]

子供がいたら、心にグッとくる場面があっただろうなと思う。内容的には面白かったけど、いつもの柚月さんの小説とあまり変わらず、デジャヴかと思った文面が多かった。小説の題名と表紙に惹かれて読んでみたけど。。。。

[ 2019-08-24 ]

まるで横山秀夫を読んでいるような生真面目な警察小説。ミステリーというより人間ドラマ。責任感強過ぎとも思える主人公に寄り添う妻が健気で印象的だった。事件解決のカギとなる犯人の偽装工作は、かなり無理があるかと…。

[ 2019-07-17 ]

初めての柚月裕子。推理小説+人間ドラマ。文章も癖がなくどんどんページが進む。しばらく続けて読みたい。

[ 2019-08-13 ]

ストーリーは好きなのだけど、お遍路の進行具合でストーリー展開の具合をいちいち考えてしまう自分がちょっと残念だった。